今から100年近く前に発売されたこのカメラは、イーストマンコダックの高級ボックスカメラです。このタイプのカメラの中では当時最小のものでした。 No.0グラフィックはほぼすべての操作をカメラ上部で行います。折り畳み式のファインダー、シャッターレリーズレバー、絞り調節レバー、フィルム巻き上げキー、シャッター巻き上げキーなどがカメラ上部に集められています。そのほかといえばはカメラ前部にレンズをカバーする前蓋がついているくらいで、見るからに「箱」といったかんじです。 このカメラの最大の特徴としてはそのシャッターがあげられるでしょう。これは一枚の長い布に大小4つの大きさのスリットを開けたもので、この4つのスリットと、6つのスプリングテンションのダイヤルを組み合わせることで1/10〜1/500秒までのシャッタースピードを得ることができます。 またニュートン式のファインダーは折り畳み式になっている鏡を45°の角度でセットすると目線とは直角に左方向を撮影することもできます。 使用フィルムは121フィルムですが、これは127フィルムと同寸法です。120フィルム用のスプールを短く切断し(中間を6ミリ程度切りつなぎ合わせます)、127フィルムを巻き付けたものを使用すれば撮影可能です。しかし現在では127フィルムも発売されていないので、撮影するには120フィルムを127フィルムの幅にカットして使用することになるでしょう。 では、使い方を見ていきましょう。 発売:1909年イーストマンコダック 型式:ボックスタイプ 材質:木製ボディ、裏蓋アルミ軽合金、黒革張り レンズ:コダックアナスチグマット72mm/f6.3(固定焦点) シャッター:単幕式フォーカルプレーン シャッタースピード:T、1/10〜1/500秒 ファインダー:ニュートン式(横向き用ミラー付) フィルム送り:上部巻き上げキーによる赤窓式 大きさ:横13.1×高さ13.1(格納時9.3)×奥8.9センチ 重さ:725グラム