1954年に発売されたライカM3は、1966年までに13年間で約22万台生産されました。 M型の初代機であるM3は、バルナック型ライカの欠点をあらゆる点において見事に解消したカメラで、現在でもM3を超えるカメラはないとも言われています。 M3の最大の特徴は、そのファインダーの視認性の良さにあります。究極ともいえる完成度を誇り、以後のM型ライカではコストダウンのために簡略化されている部分でもあります。 明るいブライトフレームはレンズ交換をすると自動的に切り替わり、さらにパララックスも自動補正される精度の高いものです。 ファインダー倍率は0.91とM型ライカの中でも最も高く、肉眼で見たイメージに限りなく近い状態で構図を決定することが可能です。両目を開けたまま見ても違和感なく被写体を観察することができます。 またM3からはバルナック型とは違うバヨネットマウントを取り入れました。約30度ひねるだけのワンタッチ操作でレンズの着脱ができ、またマウントアダプタを用意することでそれまでのスクリューマウントレンズを使用することも可能です。 M型ライカで採用されたバヨネットマウントは、その後一眼レフにも積極的に取り入れられ主流となっていきました。 M3は発売されていた13年間の間に数々のマイナーチェンジを繰り返しましたが、基本的な構造は全く変わっておらず、M3の完成度の高さをうかがい知ることが出来ます。 その中でも大きな変更としては、視野枠セレクトレバーの追加、これによりどの焦点距離のレンズを取付けても任意に他の焦点距離のフレームを見ることができるようになりました。これ以降のM型には標準装備されています。 そしてシャッターダイヤルの倍数系列化、巻き上げレバーの2回巻き上げから1回巻き上げへの変更などがあります。 では、ライカM3の使い方を見ていきましょう。 発売:1954〜68年 マウント:ライカMバヨネット式 ファインダー倍率:0.91倍 ブライトフレーム表示:50/90/135ミリ 距離計基線長:68.5ミリ 有効基線長:62.3ミリ シャッタースピード表示:B・1・2・5・10・25・50・100・250・500・1000 (後期:B・1・2・4・8・15・30・60・125・250・500・1000) シャッター形式:機械式横走り布幕 シンクロ接点:X接点 露出計:なし フィルム巻き上げ:初期2回巻き上げ、後期1回巻き上げ フィルムカウンター:自動復元順算式 フィルム巻戻し:引き上げ式ノブ セルフタイマー:内蔵 サイズ:W138×H77×D33.5ミリ 重さ:595グラム