1928年、ドイツのローライから最初に出されたニ眼レフが『ローライフレックス・オリジナル』です。なんと、このニ眼レフが生まれるきっかけとなったのは、今では珍しいステレオカメラ(ステレオ・リアリスト参照)からなのです。ローライフレックスが生まれる以前は『ハイドスコープ』、『ローライドスコープ』といった、レンズが横に三つも並ぶ(まん中がビューレンズ、両わきに撮影レンズ)立体写真用カメラを販売していたのですが、時代の流れとともにステレオ写真が敬遠されるようになり、そこでと考え出されたのが横に並んでいたレンズをたてに配し、ひとつをビューレンズ、もう一方を撮影用にしたニ眼レフカメラでした。もちろんステレオ写真は撮れません。ニ眼レフカメラはそれ以前から存在していましたが、ロールフィルムを使用するタイプはローライ独自の発想です。ロールフィルムを使うというのもステレオカメラからのなごりなのです。また、上下二つのレンズをスムーズに前後させるために4本のスピンドルが使われています。このことはそれまでのカメラにはない精密度が得られるということでローライのニ眼レフの人気を築きました。 この最初のオリジナルで使われていたのは6×6判用の117フィルムで、120フィルムは当時は6×9判用フィルムであったため赤窓から読み取る番号が合わないという理由で使用できなかったわけですが、117フィルムの普及の悪さなどから改良が加えられ、1932年に登場した次のローライフレックス・スタンダードでは120フィルムを使用するタイプにかわりました。 今回紹介しているのは撮影レンズがテッサー75mm/F3.8のタイプですがF4.5のものもあり、その他細部の異なる様々なタイプがつくられました。 1928年発売 6×6判ニ眼レフカメラ ビューレンズ:ハイドスコープ75/F3.1 撮影レンズ:テッサー75/F3.8 シャッター:コンパーシャッター、B・1〜1/300秒 フィルム:117フィルム レリーズ格納用の金具付