このオートマットMXについて紹介する前に、1937年に登場したローライフレックス・オートマットにふれておきましょう。その前年発売のローライコードIaでも、フィルムの自動巻止め装置等がついていて、リーダーペーパーの数字をいちいち読み取る必要はなかったわけですが、最初の一枚目だけは赤窓で確認しなければなりませんでした。その作業すらもなくしてしまったのが、フィルム完全自動装填を搭載したオートマットだったのです。これは世界で初めての画期的な機構でした。フィルムを装填した後は裏蓋を閉じクランクをまわすだけで自動的に一枚目がセットされます。その仕組みはというと、フィルムがリーダーペーパーに貼付けられていることを利用したもので、フィルム装填の際、リーダーペーパーを2本のローラーの間を通してから巻き取りスプールにはさみ込みます。巻き上げていくとそのローラーの間でフィルムの厚みが変わることを感知し一枚目でストップするようになっているのです。見る必要がないわけですから当然赤窓はなくなります。あの裏蓋の安全二重式ロックになったのはこのときからでした。その後何度かの改良が加えられ、名前を見てもわかるようにMX接点が切り替えられるようになったものが、このローライフレックスVです。 1951年発売 6×6判ニ眼レフカメラ ビューレンズ:ハイドスコープ75/F2.8 撮影レンズ:クセナー75/F3.5 シャッター:シンクロコンパーMXV、B・1〜1/500秒 フィルム:120フィルム