【作例1】 リコーGXR+A12Mount+ズミクロン35mmF2、F4・1/810秒、ISO200、AWB。画像をクリックすると拡大して見られます
【作例2】 ソニーNEX-5+ズミクロン35mmF2、F4・1/640秒、ISO100、AWB。画像をクリックすると拡大して見られます
【作例3】 フジフイルムX-Pro1+ズミクロン35mmF2、F4・1/500秒、ISO200、AWB。画像をクリックすると拡大して見られます
●画質の評価
画質の評価は、ピントの確認のために複数枚撮影した中から、画素等倍にモニター上で拡大したものを見て、一番ベストな1枚を選んでいる。また各機種の撮影結果データはまったくいじることなく、そのままPhotoshop CS4で開いてインクジェットプリンターでA4、A3ノビにプリントして行った。この場合のA4は顔料タイプで、A3ノビは染料タイプで行っている。これはプリンターによる変動の差異を見るためだが、実用上は面状の違いと微妙な色調の違い以外は大きく変わるところではない。
もちろん各撮影データは、Photoshop上で細かな調整をすればよりベストのプリントとなるのは間違いないが、調整の違いがプリントの良否の判定に関わってくることもあるので、ここでは撮影したままのデータでプリントしている。このあたりは、画質評価の考え方の違いにより異論もあるかも知れないが、最近の機種はほとんど微調整しなくてもかなりの画像が確保できる。ここはむしろ、プリンターの設定をオートにすることにより、ある程度は統一した自動処理が行われていると思っている。ただし、ここでお見せするのは撮りっぱなしのデータであるので、その点ご了解いただきたい【作例1〜3】。
■A4サイズにプリントしてみると
A4にプリントした限りではそれぞれの機種の違いを見極めるのは非常に難しい。わずかな差異を求めて見ると、一番の違いは色づきの部分だ。それも一目瞭然でわかるのは、画面左端の黄色の車止めだ。この車止めの色づきの強い順に列記すると、1)ソニー、2)フジ、3)リコーとなるが、フジとリコーの差はきわめてわずかである。実際、何人かの人々にA4プリントを見てもらったが、それぞれのカメラをあてた人はだれもいなく、唯一NEX-7をあてた人が1人いた。この人はソニーユーザーであり、ふだんからソニーは色づきが濃いと認識していた人だ。この色づきの差は、露出レベルにすると−2/3EVという感じで、この画面からするとその露出レベルの差が顕著に表れているのは、画面中央背面の石造の建物壁面の濃さであるが、これらはいずれも調整の範囲であり、どれがベストかということではなく、むしろ好みの範囲というレベルである。
さらに仔細にA4プリントを見ると、建物左右の背後にある樹木のボケ具合が微妙に異なるのがわかる。もっとも特徴的なのはリコーで、きれいにボケているが、フジが最も深度が深いように感じられ、ソニーがその少し手前という感じだ。同じレンズで、同じ絞り値で、同じポジションにピントを合わせても、ピントの奥行き感が違うというのは、正にデジタルならではのことである。しかしこれも、どちらがいいということではなく、各社画像処理の思想がわずかな違いとなって現れた範囲であり、だからそれぞれのカメラがどうのこうのということではないと考える。
■A3ノビにプリントしてみると
A3ノビのプリントは、僕がいつもデジタルカメラやレンズの画質を見るときの基準にしているサイズだ。ただし、いつものことであるが、それ以前にA4プリントを行っているので、その部分との比較ということになるが、A4サイズで目を皿のようにして見ても、特に問題があるわけでなく、それはA3ノビでも同じということになる。このことは、各機種とも高画素になったからではないかと思う。実際、A3ノビで、3機種がどのようなプリント解像度を持つのか表に示して見たが、有効画素数1230万画素と最も画素数の低いリコーでもA3ノビで229ppiとなるので、必要十分な解像度となる【表1】。このプリント時の必要解像度はどのくらいかということになるが、少なくとも補間処理を施さなくて、特に問題ない解像度はインクジェットプリンターでは120ppiぐらいと考えている。
【表1】 リコー、ソニー、フジフイルムミラーレス機比較
これは実際やってみればわかることだが、100ppiを下ったあたりの解像度から被写体によってはジャギーが目につくようになる。これも、Photoshopやプリンタードライバーで補間処理を行えば目立たなくなる。したがって、実は800万画素を超えたあたりのデジタルカメラから写真サイズで全紙相当、A2相当の拡大が可能となる。もちろん、これらを上回るだけの解像度を持つカメラで撮影して大伸ばしすれば、それだけ解像感のあるプリントが得られることは間違いない。その点においてはソニー>フジ>リコーの順に解像度は高いので、それだけ有利になる。ただし、大きくプリントすると鑑賞距離も遠くなるので、話はまた別になってくる。いずれにしても、今回使用したリコー、ソニー、フジの3機種は、全紙相当、A2判程度の拡大プリントに十分耐えられる解像度を持っていることになる。