【作例5:都心の日没】プログラムAE(F7.1・1/100秒)、−2.7EV補正、ISO100、AWB、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例5:都心の日没】
夕方、半蔵門を歩いていたら、日没直前に遠くのビルの壁面に太陽があたり鏡のように輝いていました。ノーマルに露出を与えたら、反射部分が白く抜けてしまうだけでおもしろくありませんので、ビルの輪郭と一部壁面が見える程度に適度なマイナスの露出補正を加えてみましたが、輝度差があまりにも大きく、これ以上の補正を加えると周辺の画像が単順に暗くなり内容の認識ができなくなるので、−2.7EV、このあたりがギリギリな補正かなと思ったところで止めてみました。目視では十分な明るさなのですが、このカットからはさまざまなことが見えてきます。シャドー部になりますが、左側のバス停の文字を見るとわかるのですが、画素等倍でも崩れることのない高解像性、直線部はディストーションをほとんど感じさせないのです。また、シャドー部全体ではノイズの発生を感じさせますが、特にノイズキャンセル処理を行っていませんので致し方ないかもしれませんが、シャープさなどの関係から個人的にはこの方が好きな描写です。
なお、左側の車列の車は、テイルランプがついているようにも見えますが、実はその先の信号が赤に変わり、皆ブレーキを踏んだので、ブレーキランプが点灯しているのですが、その光芒もほとんど真円に近いのでクセのない描写であることがわかります。
プログラムAE(F7.1・1/100秒)、−2.7EV補正、ISO100、AWB、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例6、ねむの木の花】プログラムAE(F8・1/125秒)、ISO100、AWB、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例6:ねむの木の花】
湖にそそぐ川面の上にねむの木の花が咲いていたのでシャッターを切りました。ねむの木の花は白と先がピンクの細い針のような花弁の集合体ですが、このカットも結果としてはdpクアトロの中距離における解像力の高さを確認するためのチャートのようなものでした。いずれにしても解像力は必要以上に十分であることはおわかりいただけたと思います。大分県湯布院金鱗湖にて。
プログラムAE(F8・1/125秒)、ISO100、AWB、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例7:青空と樹木】プログラムAE(F10・1/200秒)、ISO100、AWB、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例8、真夏のもみじ】プログラムAE(F10・1/200秒)、ISO100、AWB、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例7:青空と樹木】
このような遠景シーンを撮影するのは木々の葉がどれだけ解像するかを見るためですが、今さらこのdpクアトロシリーズが高解像であることを調べてどうするのかという気もしましたが、念のためとシャッターを切ったのですが、モニター上で画素等倍にして驚きました。画面中央下にある建物に書かれているCALLという文字が明確に見えるのです。さらに周辺には電柱と電線が見えるのですが、画素等倍の画像とは思えないほどシャープなのです。dpクアトロシリーズはさまざまな焦点距離で今までも数多く撮影してきましたが、高解像感に対して新たな発見でありました。湯布院金鱗湖にて。
プログラムAE(F10・1/200秒)、ISO100、AWB、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例8:真夏のもみじ】
青空を背景に少し紅く色づいた真夏のもみじが光を透してステンドグラスのように輝いていました。ごく自然にシャッターを切りましたが、実はこういうシーンはデジタルの広角レンズにはつらいのです。一般的にはこのような場面では、画面上部周辺部に紫色のパープルフリンジが発生することが多いのですが、このシーンではまったくといっていいほどフリンジの発生は確認できません。【作例3】の遠景マンションでは確認できたのにこちらのカットでは見えないのです。撮影距離が中距離ということがあるかもしれませんが、パープルフリンジはレンズの特性だけで発生するのではなく、被写体の状況によっても発生したり、発生しなかったりするわけです。
だからといって、撮影画像の左右に色の濃いビルなどを配してフリンジの発生がないような作例をつくることも撮影テクニックとしてはありますが、カメラ、レンズの性能を本当に知りたい人にとっては残念なことです。少なくともdp0クアトロと搭載された14mmF4レンズは、かなりフリンジの発生は少ない組み合わせだと思うので、もっと正面から堂々と描写特性を見せてもよいのではと考える次第です。湯布院金鱗湖にて。
プログラムAE(F10・1/200秒)、ISO100、AWB、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例9:U字溝の植物】プログラムAE(F9・1/125秒)、ISO100、AWB、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例9:U字溝の植物】
湯布院の湯平温泉街の石畳道を歩いていて、U字溝の中に密集してたくましく生きる植物を見つけ、十分に近づいて撮影した1枚です。たぶん蓋の部分から少しでも顔を出すと踏みつけられて、それ以上伸びることはできないのでしょう。マクロ域での撮影ですが、植物の繊毛まで見えるシャープさ、黒くさびた鉄の蓋の質感、そして近接でもディストーションを感じさせない直線性など、このカットもdp0クアトロならではのものです。
プログラムAE(F9・1/125秒)、ISO100、AWB、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例10、札幌に遊ぶ田中長徳さん】プログラムAE(F4.5・1/30秒)、ISO400、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例11、札幌テレビ塔】プログラムAE(F7.1・1/80秒)、+1EV補正、ISO100、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例12、不思議な空間】 プログラムAE(F9・1/125秒)、ISO100、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例13、寫眞週報】プログラムAE(F4・1/25秒)、ISO200、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例14、岩科学校】プログラムAE(F8/・1/100秒)、ISO100、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例15、なまこ壁の倉】プログラムAE(F7.1・1/100秒)、ISO100、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例16、奈良俣ダム】プログラムAE(F13・1/200秒)、−0.3EV補正、ISO100、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例10:札幌に遊ぶ田中長徳さん】
基本的にフォビオンセンサーは、性能を十分に発揮するには明るいところで撮影するものだといつも僕は思っています。そのようななかでも、ときには必要に迫られて室内で補助光なしで撮影することがあります。この写真は、札幌の喫茶店で写真家の田中長徳さんとご一緒した時のものです。手持ち1/30秒はブレないシャッタースピードとしてぎりぎり、感度オートでISO400とこちらもノイズの発生具合やプリント時の拡大率からすると、ぎりぎりかなと思うのです。それでも必要十分なシャープさと彩度があるのはご理解いただけると思うのです。いずれにしても高解像と高感度が両立しないのはフィルムの時代にはあたりまえのことでしたから、いまさら驚くわけでもないのですが、これが両立するようになったらフォビオンは最強のイメージャーになるのです。
プログラムAE(F4.5・1/30秒)、ISO400、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例11:札幌テレビ塔】
せっかく札幌までdp0クアトロを持参したのですからと名物の建造物をということで、晴天ではありませんでしたが撮影した1枚です。ピントはAFで右下の赤い小屋にフォーカスロックして合わせましたが、14mmという焦点距離では背後のテレビ塔まで十分にピントがきています。
このカットで感心したのは、テレビ塔中間の緑色に塗装された展望デッキ部分の表面の質感です。単に色が塗られた感じでべったりというわけではなく、しっかりと壁面が波打った感じなどが描出されていることです。これも高解像なフォビオンならではのものと思うのです。
プログラムAE(F7.1・1/80秒)、+1EV補正、ISO100、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例12:不思議な空間】
静岡県駿東郡にあるクレマチスの丘の美術館をつなぐ通路です。最初は遠くから見ていたのですが、タイル張りの壁画の前を人が歩いて行くのです。背景に描かれた2人は不動なのですが、そこを女性が歩いて行くところをねらいました。最初は、歩いてどこに行くのかわかりませんでしたが、チケット売り場から美術館の入り口までの通路だったのです。どおりで、すべての人が左から右に歩いて行くわけで、出口はほかにあり、1方通行であるとわかったのは、チケット売り場まで確認に行った後でした。なお、タイルは1つ、1つ細かく描出されています。
プログラムAE(F9・1/125秒)、ISO100、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例13:寫眞週報】
クレマチスの丘にあるIZU PHOTO MUSEUMの“戦争と平和−伝えたかった日本”展で壁面いっぱいに展示された『寫眞週報』。周辺部が暗いのは、照明が撮影用でなく中央部に自然光がたくさんあたるような展示であったことと、撮影レンズがF4の絞り開放であったためです。寫眞週報とは、戦前内閣情報局により刊行された週刊のグラフプロパガンダ誌で、1938年2月16日付の創刊号から、1945年7月11日付の374・375合併号までに全部で370冊発行されました。それにしても、画素等倍に伸ばすとそれぞれのメインタイトルや副題が十分に読めるのは、まるでマクロレンズの描写を見ているようです。
プログラムAE(F4・1/25秒)、ISO200、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例14:岩科学校】
岩科学校は、伊豆松崎町にあるなまこ壁の社寺風建築様式と洋風のバルコニーを取り入れ、1880年に建てられた伊豆地区最も古い小学校です。瓦文字の解像、質感描写などなかなかですが、左手前の松葉が1本1本しっかりと描写しているのもご立派です。
プログラムAE(F8/・1/100秒)、ISO100、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例15:なまこ壁の倉】
伊豆松崎町のなまこ壁通りです。なまこ壁の倉の窓をアップしてみました。歪みのないのはdp0ならではのものですが、中央の柱を囲った鉄板の錆び、銅板の緑錆、クラシックな窓ガラス、引き戸など、いずれも繊細な古さを感じさせる描写となりました。なまこ壁とは、土蔵などの外壁面に四角い平瓦を並べて貼り、メジとして漆喰をかまぼこ型に盛り上げて塗っあるものをいいます。明治時代から昭和中期までは各地で見られましたが、現在は少なくなりました。前出の岩科学校もなまこ壁です。
プログラムAE(F7.1・1/100秒)、ISO100、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。
【作例16:奈良俣ダム】
群馬県の利根川水系上流にある日本最大のロックヒルダムを下から見上げてみました。ロックヒルダムとは、石を積み上げてダムを作るのだということですが、地盤のあまりよくないところで用いられる工法だそうです。
この写真はF13まで絞り込まれていますが、画素等倍まで拡大てみると、手前の石にはピントがよくきているのですが、奥の石にはピントがきていないのです。つまり絞り込むと、パンフォーカス的に遠方までピントが合うというのが一般的ですが、デジタルでは簡単に画素等倍まで拡大してみたり、B0判クラスまで拡大プリントして見られるので、フィルムカメラの時代と被写界深度の考え方を変えなくてはならないと最近思うようになりました。画面中央左上空にはトンボが飛んでいます。いずれにしても、誰もが合焦ポイントの違いがわかるところまで拡大プリントする必要があるのか? ということになります。
なおこのような短い焦点距離のレンズでピントが浅く見える現象は、フォクトレンダー・スーパーワイドヘリアー15mmF4(第29回掲載)でも確認されています。撮像素子がフィルムのように厚みをもっていないデジタルならではの現象であると考えます。
プログラムAE(F13・1/200秒)、−0.3EV補正、ISO100、AWB(色残し)、Jpeg.Fine(5424×3616)、手持ち撮影。