≪作例24≫ サムヤン、焦点距離35mm、F5.6・1/800秒、ISO100、AWB
■いつもの英国大使館正面玄関
撮影日時はシグマと同一、撮影条件はタムロン、シグマと同じということで、絞りF5.6で屋根中央直下の大使館エンブレムにピントを合わせています。
≪作例24≫ 焦点距離35mm、F5.6・1/800秒、ISO100、AWB。全景からわかることは、画角とか色合いですが、左下がたる型に湾曲しているように見えるのは、地面がそのように曲がっているからで、お間違えのないように。画素等倍まで拡大してみると、すでにタムロンとシグマの項で述べたことですが、画素等倍で見たときには焦点距離が長くなるほどターゲットゾーンのエンブレムは大きく見え、解像力が高いように見えます。その点においてはサムヤンにおいてもかなりの高解像な像をだしていますが、やはり6,100万画素という高解像機であるα7R IVの効果によるものが大だと思いますが、基本的にはレンズ性能が大切なわけです。このレベルがどのようなものか、「ライカに始まり、ライカに終わる」にある他機種の同じ画面を見比べてもらえれば幸いです。
≪作例25≫ サムヤン、ネットの向こうは西武ドーム、焦点距離35mm、F8・1/400秒、ISO100、AWB
■ランダムな撮影
≪作例25≫ ネットの向こうは西武ドーム、焦点距離35mm、F8・1/400秒、ISO100、AWB。 手前と奥に緑色のネットが張られていますが、F8に絞られていると前後のネットにすべてピントが合っているのがわかります。ドーム屋根の質感、ネットの描写とも文句ありません。
≪作例26≫ サムヤン、ソクハイ・バイク、焦点距離35mm、F4.5・1/100秒、ISO100、AWB
≪作例26≫ ソクハイ・バイク、焦点距離35mm、F4.5・1/100秒、ISO100、AWB。 塗装されたバイク、荷物ケースなどの光沢感がいい感じで再現されています。撮影距離約2mぐらいでしょうか、アスファルトの路面を見ると深度がわかります。
≪作例27≫ サムヤン、ボケの感じを見る、焦点距離35mm:F4・1/80秒、ISO100、AWB
≪作例27≫ ボケの感じを見る、焦点距離35mm:F4・1/80秒、ISO100、AWB。ピントは右端の花のつぼみに合わせてあります。画面左上を見ますと、樹木の葉の間からこぼれる背面の光の部分が球面状に見えますが、大きく伸ばすとより顕著に見えてきます。同じ場所をシグマ45mmで撮影していますが、ボケ具合がサムヤンの方が元の形状を残していますが、これはシグマとサムヤンの焦点距離10mmの違いによるところが大きいでしょうか、それともシグマのいう球面収差の影響でしょうか。
≪作例28≫ サムヤン、ススキの穂、焦点距離:35mm、 F2.8・1/2000秒、ISO100、AWB
≪作例28≫ ススキの穂、焦点距離:35mm、 F2.8・1/2000秒、ISO100、AWB。 絞りF2.8と開放でススキの穂にピントを合わせました。画素等倍まで拡大しても十分解像しているのがわかります。このカットで気に入ったのは、青空の周辺がフィルムカメラで撮ったようになだらかに減光していることです。ただし、このような効果はレンズの性能によることはもちろんですが、α7R IVとの組み合わせでの描写特性であって、撮像素子の特性に依存する部分が大です。
≪作例29≫ サムヤン、バラの花、焦点距離:35mm、F4.5・1/1000秒、ISO100
≪作例29≫ バラの花、焦点距離:35mm、F4.5・1/1000秒、ISO100。西武園のイングリッシュガーデンに咲くバラの花ですが、左中の花の雌しべにフォーカスしましたが、ジャストピントでα7R IVのAF特性も良いということになりますが、雌しべの部分を拡大して見るとしっかりと解像し花粉粒まで見えます。同じ場面を他のレンズで比較していないのでわかりませんが、アウトフォーカスした背景の樹木の葉の間のボケはリング状を示しているので、球面収差補正の具合に関係がありそうです。ボケ描写は好みもあり判断が難しいです。
≪作例30≫ サムヤン、クヌギのどんぐり、焦点距離35mm:F6.3・1/200秒、ISO50、AWB
≪作例30≫ クヌギのどんぐり、焦点距離35mm:F6.3・1/200秒、ISO50、AWB。タムロン、シグマと同じ時に撮影しましたが、ISO AUTOで撮影したのに50になったのは不思議です。3種のレンズともこのようなシーンでは、十分な解像をもって質感描写されました。背景のボケ具合も良くご覧ください。
≪作例31≫ サムヤン、国宝正福寺、焦点距離:35mm、F8・1/100秒、ISO 100、AWB
≪作例31≫ 国宝正福寺、焦点距離:35mm、F8・1/100秒、ISO 100、AWB。かつて画素数が少なかったころには屋根に吹かれた杉板の重なった目にモアレが必ず発生しましたが、今回のα7RIVとの組み合わせでは、タムロン、シグマ、サムヤンのいずれも目立ったモアレの発生はありませんでした。それぞれの画面を拡大すると解像性能が良くわかります。
≪作例32≫ サムヤン、夜の新宿ゴジラ通り、焦点距離:35mm、F2.8・1/30秒、ISO 50、AWB(都合により下1/4はトリミングしています)
≪作例32≫ 夜の新宿ゴジラ通り、焦点距離:35mm、F2.8・1/30秒、ISO 50、AWB。35mmという画角分の描写ですが、やはりゴジラにピントを合わせてあります。ゴジラを画素等倍まで拡大するとF2.8という開放絞りであるということも手伝ってか、十分解像はしているけれどわずかに柔らかいかなという印象はありますが、この差がわかるのは極端に拡大した極大プリントではないかと思うのです。(都合により下1/4はトリミングしています)
≪作例33≫ サムヤン、口径食を見ました、焦点距離:35mm、F2.8・1/20秒、−1.7EV補正、ISO 50、AWB
≪作例33≫ 口径食を見ました、焦点距離:35mm、F2.8・1/20秒、−1.7EV補正、ISO 50、AWB。左右ボケに口径食が見えるのは致し方ないとして、よく見ると丸のボケの周辺にわずかに輪郭がでているので、使い方によっては昨今の若い人たちが好む玉ボケ、シャボン玉ボケというような表現も可能になってくるのではと思ってしまいました。
サムヤンAF35mmF2.8FEはケンコー・トキナー取り扱いのレンズですが、製造は韓国の三洋光学(サムヤン・オプティックス)であって、ソニー用のAF交換レンズを早くから手がけていました。実はこのレンズ発売時に入手していましたが、当時は7Rと7RIIで使ってみたのですが、なんとなくなじめなくそのままでしたが、この時期元祖ソニーのゾナーT*FE35mmF2.8を規範にしたレンズとしてシグマも登場しましたので、サードパーティのAF交換レンズというくくりで、改めて比較してみました。結果はご覧の通りですが、カメラ本体が変わり画素数も増えると画質が良くなるのかと思うほど健闘しました。実際はカメラのセンサー特性、画像処理エンジン、ローパスフィルターレスの効果などによるものなのでしょうが、改めてデジタルカメラにおけるボディと交換レンズの関係を考えさせられる結果となりました。
●最新「ソニーα7R IV」とタムロン、シグマ、サムヤンのソニー用レンズ
今回はフルサイズ6,100万画素という高画素機で、ミラーレス専用に開発された3本の交換レンズを使ってみた使用記ですが、改めてクイックなAF、シャッター音の軽減、ファインダーの見えやすさなど、最新ボディの仕様には表れない進歩を十分に感じさせ、写真画質というのはレンズだけでなくカメラ本体と組み合わせて性能がでてくるのだ、というきわめて当たり前のことを再認識させられました。また6,100万という高画素も、最初はいかがなものかと考えていましたが、やはりそれだけのメリットがあり、それぞれ用意したサードパーティのレンズもすべてボディについてこれたということです。今回、過去のボディでの結果をいくつか振り返ってみましたが、明らかに最近のボディは発色もクリアで色抜けが良く、画素数分だけ解像も上がってきているのです。
タムロンの17〜28mmズームは、なぜこんなに明るくて、小さく軽くて画質が良いのか?。シグマの45mmF2.8は新しい考え方のレンズですが、確かに柔らかいボケ描写だけど合焦部がシャープなことも確かなレンズです。
ところが今回のシグマ、サムヤンのレンズを付け替えながら使用中に、知人のプロ写真家がα7R IVのファインダーを室内で覗き、簡単にサムヤンがクリアでいいと言い切ってしまいました。この時点では僕もシグマSAIN「大曽根、語る」の文章を読んでなく、すでに大半の実写を終えていたので意外でしたが、プロ写真家TKさんは、しっかりとシグマ設計者が意図するところをファインダーを覗いただけで、一目で見抜いてしまったのです。やはりこのレンズは、絞り開放で近距離はソフトな描写だという特徴をしっかりとアナウンスするなり、製品名に盛り込まないとこれからも誤解は生じるでしょう。もったいない話です。そしてサムヤン、確かに開放では少しあまい所はありますが、少し絞られるとその描写はご覧の通りとなりました。結局、どれがいいかなどということでなく、みんな良く写るし、自分の好みで財布と見比べて買ったらいいというのが結論です。
≪表1≫ ソニーのゾナー35mmF2.8とサムヤン、ンシグマの比較
ところで今回の、シグマ、サムヤンは、ソニーのゾナー35mmF2.8をかなり意識して設計したようで、それぞれの仕様を表にして比較してみました。≪表1≫を見てわかるのは、サムヤン、シグマがソニーのゾナーをスタートに何を頑張ったかよくわかります。
すでに、ミラーレスフルサイズには、ソニーに加え、ニコン、キヤノン、シグマ、パナソニック、ライカが参入しているわけですが、ソニー、シグマを別にすれば、皆、性能、大きさ・重さ、価格ともヘビーな部分を目指しているようですが、交換レンズメーカーとして当面はこのあたりに生きる道が十分にありそうです。 (^_-)-☆