【ZORKI】正面と軍艦部(画像をクリックすると大きくなります)
【偽Leica Gold】正面と軍艦部(画像をクリックすると大きくなります)
■ ZORKI
ロシア製コピーライカの代表機種で、1949〜56年の間に70万台も作られたという名機だ。このカメラの入手にはちょっとした思いでがある。1991年のソ連崩壊直後に、モスクワを訪れていた友人の新聞社カメラマンHさんが、夜中に職場へ電話をかけてきて、路上で金色のライカが安く売られていて、明らかに偽物だけど、どうしようかといってきたのだ。安ければ買ってきてと伝えたら、その「金色ライカ」と元になったカメラだというゾルキーの2台が僕のためにと買ってきてくれた。その受け渡しは、築地にあるマグロの土手鍋屋さんで一杯やりながら行われたが、湯気がもうもうと立ち上がるなか、目にもまぶしいような黄金色のライカを素手で触って、いろいろとカメラやレンズのみやげ話をたくさん聞いて、すっかりご機嫌になり帰宅したが、翌日金色ライカを見てびっくりした。輝くような金色に陰りがでているのだ。さっそく専門家に見てもらうと、金は素手で触ってはいけないことと、下地処理が悪いので、せっかくの純金メッキもいくら大切の扱っても下地から腐食が進んでくるというのだ。当時は金属磨きの“ピカール”を金色ライカとセットして磨き上げていたが、最近はあきらめて放置していたら、何と緑青が噴きだす始末だ。ということで入手から20年近く経ち、今ではオリジナルのゾルキーのほうに愛着がある。レンズはインダスター22で、沈胴式の50mmF3.5が装着され、シャッターは、B.1/20〜1/500秒。ところで金色ライカのレンズはエルマー50mmF3.5であり、革ケースにまでLeicaと押されているが、よく見るとその背後にうっすらとZORKIの文字が見える。ソ連崩壊で、旧東欧圏にあったライカ、さらにはロシア製カメラや交換レンズが日の目を浴びたのはこの時期だったが、折からのライカブームと相まって、自国のカメラを再加工してライカに仕立てあげたというのも寂しさを感じさる。たぶん時代がそうさせたのだろう。