■太鼓門を写した結果から
まず、ニコンとソニーの画面を見比べて思うのは、ニコンはコントラストが高く、全体的にアンダーな感じに写っています。それでは露出値が違うのかと、それぞれのExif Dataを見ると、ISO100と同じ感度設定で、絞り値F5.6、シャッター速度1/1000秒ともまったく同じで、撮影条件としては大きな違いはないだろうと思うのです。また、シャドーの描出はソニーのほうがよく表れていて、ニコンのほうがアンダー気味の感じがしますが、これはこれであり、それぞれのメーカーの画作りの設計思想の違いと見るわけでありまして、どちらがいいかということでなく、どちらが好きかということになります。また白壁のハイライト部分は、どちらも完全に飛んでいるわけではないですが、ニコンのほうがRGB成分はバランスよくハイライト部が形成されています。さて解像感に関しては、ピントを合わせた瓦の縁や左側の松の葉を見るとツァイスゾナーのほうがシャープです。これをさらに細かく見ていくと、ニコンは瓦中心部から左右に広がる部分を順次追いかけて見てみると、周辺に行くにしたがって結像が甘くなります。絞りはF5.6に絞ってありますが、これはたぶん像面湾曲の影響ではないかと思われます。
ただし、これらはあくまでもパソコンのモニター画面上で画素等倍に拡大したときの画像であって、僕の手元にあるインクジェットプリンターでA3ノビ(半切相当)にプリントしたときには、瓦の縁はソニーのほうが明らかにシャープであることはわかりますが、松の葉の部分は発色の傾向は別にしてどちらも同じような見え方にプリントされます。いずれにしましても、ソニーは最新のレンズ、ニコンは最新Gタイプレンズではなく、一世代前のDタイプレンズを使ったのが原因かもしれません。
●霞ヶ浦の湖岸に生えるヨシ
■ニコンD800E+AFニッコール35mmF2D【作例C】
作例C 絞り優先AE(F8・1/200秒)、ISO100、AWB、三脚使用(画像をクリックすると画素等倍で見られます)
作例D 絞り優先AE(F8・1/250秒)、ISO100、AWB、三脚使用(画像をクリックすると画素等倍で見られます)
〈撮影データ〉絞り優先AE(F8・1/200秒)、ISO100、AWB、三脚使用
撮影は、太鼓門と同様にD800Eの性能を十分に発揮するようにと、三脚にカメラをセットしたのちに、ライブビューのAFで撮影しました。ただし前カットと異なり絞り値をF8にセットしました。ピントを合わせたフォーカスポイントは、ヨシのわずか手前に位置する木道の縁です。全体のアングルとしては、この木道に正対した位置から撮影してあります。
■ソニーα7R+カール・ツァイスゾナーT* FE35mmF2.8ZA【作例D】
〈撮影データ〉絞り優先AE(F8・1/250秒)、ISO100、AWB、三脚使用
撮影条件、撮影ターゲットはD800Eとまったく同様です。どちらのカメラもそうですが、注意深く6カット撮影しました内の1枚です。
■ヨシを写した結果から
まず、ご覧になっておわかりのように、太鼓門のように濃度差は大きくありません。測光分布などに依存するのでしょうか、シャッタースピードはソニーのほうが1/250秒とニコンより1/50秒速いのですが、この違いは特に意味はないと思うのです。実際の写した結果を見てみましょう。モニター画面で画素等倍に伸ばした場合の解像感に関しては、太鼓門のときと同様にやはりツァイスゾナーのほうがシャープです。その原因は前カット同様に、ソニーのは最新レンズ、ニコンはGタイプレンズではなく、一世代前のDタイプレンズを使ったからかもしれません。ひょっとしたら、当日は風が強かったので、先ほどの1/50秒速いシャッターがヨシの揺らぎを止めたのかなとも考えましたが、それでは完全に固定された木道部分の描写が説明つきません。ただし、先ほどの太鼓門のように像面湾曲による影響があるのではというような懸念は消えました。これは撮影距離と、絞りがF8に絞り込まれたことに関係あると考えられます。