●撮影、そしてプリント
デジタルカメラの画質評価法に対しては、さまざまな考え方があると思いますが、僕自身は撮影したデータを、いつも同じモニター画面で微細に画素等倍で見ることと、実際にプリントして見ることが大切だと思うのです。いつもは、自宅のプリンターで可能な限りの大きさのA3ノビ(写真サイズ約半切相当)に引伸ばして見るようにしていますが、違うカメラ同士やクラシックレンズの画質を見る場合にはこのA3ノビサイズレベルのプリントでもよいこともありますが。最近では、ニコンD800シリーズ、ソニーα7Rのような3600万画素の高画素機の登場で、モニター画面での拡大に加え、A3ノビプリントでの観察では十分に性能を見きれない要素が高くなってきました。幸いなことに、僕の友人がA0幅までの拡大可能なインクジェットプリンターを持っていたので、必要に応じて協力を願いお願いしているのです。
そこで、実際に大型プリントを作成した時のメリットを考えてみました。1)モニターによる部分拡大では解像感、収差の発生など画面全体の均質感が見渡すことができない。2)撮影したデジタルカメラによる写真の最終鑑賞形態がプリントならば、画質はプリンターの能力にも依存するので、プリントで判断するのが現実的であることなどです。それでは以下撮影した結果から、オリンパスOM-D E-M5 MarkIIの4000万画素ハイレゾショットの実力を見てみましょう。撮影場所は、いつもの英国大使館正面玄関前です。いずれも三脚使用のため、手ブレ補正モードはOFFで撮影です。なお撮影時の焦点距離は、35mm判の35mm画角に相当する18mmに設定しました。
【作例1:通常撮影】4608×3456ピクセル、絞りF5.6・1/1250秒、ISO200(画像をクリックすると画素等倍にして見られます)
【作例2:40Mハイレゾショット】7296×5472ピクセル、絞りF5.6・1/1250秒、ISO200(画像をクリックすると画素等倍にして見られます)
【作例3:フォトショップで画素伸ばし】7296×5472ピクセル、絞りF5.6・1/1250秒、ISO200(画像をクリックすると画素等倍にして見られます)
【写真4】A0プリントとA3ノビプリントの大きさ比較(画像をクリックすると大きくして見られます)
【作例1:通常撮影】4608×3456ピクセル、絞りF5.6・1/1250秒、ISO200。
プリントはA3ノビとA0で行いました。A3ノビプリントは天地約322mm、横幅は、4/3素子の縦横比は4:3なので約430mmとなります。A0プリントは天地を1000mm(1m)に設定しましたので、横幅は1,333mm(約1.33m)となり、通常撮影は1600万画素なので、A3ノビの場合のプリント解像度は約270dpi、A0プリントは約88dpiとなります。【作例1】の撮影データは通常撮影をリサイズしないで画素等倍まで拡大して見られるようにJPEGデータをそのままアップしてありますので、ご覧ください(以下同じです)。
【作例2:ハイレゾショット】7296×5472ピクセル、絞りF5.6・1/1250秒、ISO200。
プリントはA3ノビと、A0で行いました。作例1と同様に、A3ノビは約天地322mm×横430mm、A0プリントは天地を1000mm(1m)に設定しました。ハイレゾショットは公称約4000万画素ですが、実際は39,923,712画素となり、A3ノビの場合のプリント解像度は約430dpi、A0プリントでは約139dpiとなります。掲載の画像は撮影時そのままのJPEGデータです。
【作例3:フォトショップで画素伸ばし】7296×5472ピクセル、絞りF5.6・1/1250秒、ISO200。掲載の画像はフォトショップで解像度変更したそのままのJPEGデータです。
フォトショップによる画素伸ばし(解像度変換)は、もともと画素数が少ないデジタルカメラやデジタル画像データから大伸ばしをする時に、十分な解像度を持たせてプリントするとなめらかなプリントが得られるということで、昔から一部では知られていたプリントテクニックです。フォトショップによる解像度の変更には、バイキュービック法、ニアレストネイバー法、バイリニア法などがありますが、写真には最も高画質が得られる、バイキュービック法を使うようにします。さらにバイキュービック法には拡大用とグラデーション重視とありますが、今回は、グラデーション重視に設定し、縦横比を変えないでハイレゾショットと同じように横を7296ピクセルにして、その画質差を見てみようというわけです。
プリントはA3ノビと、A0で行いました。作例1と同様に、A3ノビは約天地322mm×横430mm、A0プリントは天地を1000mm(1m)に設定しました。フォトショップで画素伸ばしした場合にはハイレゾショットと同様に実際は39,923,712画素となり、A3ノビの場合のプリント解像度は約430dpi、A0プリントでは約139dpiとなります。【写真4】にはA0プリントの中央下部にA3ノビプリントを置いて、撮影してみました。単なる大きさ比較なので、ライティングのムラ、反射などはご容赦ください。