【写真5】撮影に使ったカメラとレンズ。左:α7Rに Sonnar T*FE35mmF2.8を装着、右:α7R Mark IIにVario-Tessar T*FE16-35mm F4を装着。(画像をクリックすると大きくして見ることができます)
■ランダムに写してみたら
ここでの写してみた結果は、ランダムな撮影で特徴がでたものを、いくつかピックアップして紹介します。撮影レンズは、SonnarT*FE35mmF2.8とVario-Tessar T*FE16-35mm F4 ZA OSS【写真5】、さらにM42マウントのPlanar T*50mm F1.4 ZSをマウントアダプターを使い撮影してみました。このうちVario-Tessar T*FE16-35mm F4はズームなのに高画質だと評判のレンズです。また、ソニー専用FEマウントレンズはすべてAFで、M42のPlanar T*50mm F1.4 ZSはMF撮影です。
【作例10:神秘なお堀】 プログラムAE(F8・1/250秒)、ISO100、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離16mm。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例10:神秘的なお堀】
英国大使館の正面玄関を撮影に行った日に、あまりにも天気がよいので、改めて千鳥ヶ淵公園を昼食後の運動をかねて歩いてみました。晴天の青空と対比的に緑色の樹木、お堀の水など、それぞれのグリーンの微妙な違いの中に神秘的な色再現をしてくれました。お堀の石垣はシャドー部にありますが、画素等倍に拡大するとしっかり描出されており、背景の樹木の葉、草など細かい部分もまずまずといった感じで分離しているのがわかります。高解像であるだけに、ズームレンズの描写としては必要十分な画質というわけです。
プログラムAE(F8・1/250秒)、ISO100、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離16mm。
【作例11・赤い滑り台】 プログラムAE(F7.1・1/200秒)、ISO100、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離20mm。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例11・赤い滑り台】
前回のdp0クアトロのときにも撮影しましたが、遊園地にあった樹脂製の赤い滑り台です。発色はα7R Mark IIのほうがわずかに色鮮やかな感じがします。しかし、これは作る側の画作りへの考え方の違いによるわずかなレベルであり、さらにはモニターが違えばその差はわからなくなる程度で、どちらがよいというような問題ではありません。太陽光のズバリ直射している反射部分は白くヌケており、その部分を画素等倍まで拡大してみると引っかきキズが見えるなど、dp0クアトロのときと大きく変わることはないので、この部分の描写に関しては裏面照射CMOSもフォビオンも同じとみてもよいわけです。
プログラムAE(F7.1・1/200秒)、ISO100、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離20mm。
【作例12・まるでチャートのようなマンション】 プログラムAE(F7.1・1/400秒)、ISO100、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離20mm。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例12・まるでチャートのようなマンション】
こちらのシーンも前回のdp0クアトロのときにも撮影した場所です。天候、撮影時間はかなり似た感じですが、違うのは、カメラ、レンズ、画素数、撮像方式となります。モニター上で比較すると、シャープさがかなり異なりますが、実際プリントすると通常展示の拡大率では大きな差はでないのではと思うわけです。画素等倍まで拡大して見ると、左側の白いビルの窓枠に倍率の色収差の発生をかすかに見ることができますが、撮影倍率と画素数から考えると実用上はまったく無視できる発生具合です。
プログラムAE(F7.1・1/400秒)、ISO100、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離20mm。
【作例13・寿人遊星】 絞り優先AE(F2.8・1/60秒)、ISO125、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、SonnarT*FE35mmF2.8。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例13・寿人遊星】
被写体は、1986年にハレーすい星が76年ぶりに地球に接近したのを記念して七福神のひとつである宇宙に関係の深い“寿老人”をハレーすい星をイメージして人々の長寿を願って作られたという銅像です。千代田区九段下俎橋公園の喫煙所脇にあります。レンズは、ゾナーという基本的なデザインでありながら、非球面レンズを3枚採用し、内焦方式の単焦点レンズであるためにか絞り開放から高解像であり、4,240万画素という高画素とマッチしています。撮影でピントは寿人遊星に合わせてありますが、画素等倍にして見ても、像の乱れもなく、しっかりと描写しているのがわかります。また、背景のボケ具合もクセなくきれいに描出されました。
絞り優先AE(F2.8・1/60秒)、ISO125、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、SonnarT*FE35mmF2.8。
【作例14・喫茶店】 プログラムAE(F8・1/6秒)、ISO6400、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離35mm。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例14・喫茶店】
閉店直後の喫茶店を外から狙ってみました。5軸の手ぶれ補正機構のところで撮影したように暗くもなく、店内は明るかったので、プログラムAEでF8まで絞り込まれましたが、特別な露出補正をしなく、1/6秒とスローなシャッターでもメニューの文字が読めるくらいに適度なコントラストをもって感じ良く撮影できました。
プログラムAE(F8・1/6秒)、ISO6400、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離35mm。
【作例15・飲み屋街の看板】 プログラムAE(F8・1/60秒)、ISO500、−2.3EV補正、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離25mm。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例15・飲み屋街の看板】
小さな路地に飲み屋さんがの看板が左右に所狭しと林立しているシーンを狙ってみました。最初は昼間に、次は夜の営業時間帯にと出向き、ノーマル露出でシャッターを切ったところ、面白さがありませんでした。そこで、露出をマイナス側に極端に−2.3EVもシフトさせたところ、周りの店と道路の雰囲気は消え、看板だけが宙に浮いたように見える幻想的な写真が撮影できました。
プログラムAE(F8・1/60秒)、ISO500、−2.3EV補正、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離25mm。
【作例16・杉並木のタバコ屋さん】 プログラムAE(F4.5・1/60秒)、ISO500、−1EV補正、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離23mm。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例16・杉並木のタバコ屋さん】
日光例弊使街道杉並木の中にあるタバコ屋さんの前です。折からの猛雨の直後でしたので、水溜まりに飛び込む車の水しぶきと、タバコの自動販売機、赤い幟などすべてが異空間の中にあるような光景が、1枚のカットに納まり、意外性のある面白い写真となりました。
プログラムAE(F4.5・1/60秒)、ISO100、−1EV補正、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、手持ち撮影、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4:焦点距離23mm。
【作例17・湖畔の樹】 絞り優先AE(F2.8・1/2500秒)、ISO100、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、MF、手持ち撮影、Planar T*50mm F1.4 ZS。マウントアダプター使用。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例17・湖畔の樹】
日光から金精峠を越えて沼田に行く途中にある丸沼の湖畔で見つけた樹で、池の中に浮く小島に1本だけで生えている感じで、なかフォトジェニックなシーンです。
絞り優先AE(F2.8・1/2500秒)、ISO100、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、MF、手持ち撮影、M42マウントPlanar T*50mm F1.4 ZS。マウントアダプター使用。
【作例18・シラカバとサルノコシカケ】 絞り優先AE(F5.6・1/60秒)、ISO100、+1EV補正、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、MF、手持ち撮影、Planar T*50mm F1.4 ZS。マウントアダプター使用。(画像をクリックすると画素等倍で見ることができます)
【作例18・シラカバとサルノコシカケ】
丸沼の湖畔に生えていた白樺の木にサルノコシカケが生えていましたのでねらってみました。50mmレンズですが、最初は絞りF2.8にして撮影してみましたら、背景のアウトフォーカスのボケは口径食の影響もありますが円形に近く、なかなかファンタジックな写真となりましたが、深度が浅すぎるので白樺の質感がでるところまでいきませんでした。そこでもう少し絞り込み、F5.6で撮影したほうの1枚です。このくらい絞ると白樺とサルノコシカケの質感がうまく描写されましたが、背景のアウトフォーカスのボケは小さくなっておもしろさがありません。でも主要被写体のボケが大きく目立ちますので、このくらい絞ったほうが好みの絵柄です。
絞り優先AE(F5.6・1/60秒)、ISO100、+1EV補正、AWB、Jpeg.ExtraFine(5424×3616)、MF、手持ち撮影、M42マウントPlanar T*50mm F1.4 ZS。マウントアダプター使用。
■終わりに
新型の高画素タイプ登場というわけで、実際の写真展示を想定して大伸ばしプリントまでやりましたが、意外や意外、画素数の増加よりも、高感度、周辺光量の増加などと、裏面照射タイプゆえの長所が目につく結果になりました。高画素に対しては、すでにニコン/ソニーの3,600万画素、キヤノンの5,060万画素が実用化されているところへのソニーの4,240万画素の登場となったわけですが、この裏面照射タイプのフルサイズセンサーを武器に、ソニーはこの時期から価格設定を見ても明らかなように、攻めに入ったと考えるわけです。今後、ソニーは、何時このセンサーを外販開始するのだろうか、これからフルサイズへの参入を表明しているリコーはどういうセンサーを使うのだろうか、ライカはどうするのだろうかなど、これからのデジタル一眼各社の動向は大いに気になります。
(2015.09)