■写した結果は
写した結果は、少なくとも、ここに掲載してある写真では良く写っていて、特に大きな問題はないと思います。ただ今回はその判断の詳細はご覧になった人にお任せることにしました。それというのも、1本のレンズを1場面だけ撮影したカットで、レンズ性能をとやかく言えるほどの技量を僕自身は持っていないことです。もちろん、いくつかそれらしいものを見ることはできますが、あまりにも評価サンプル数が少ないのです。しかしモニター上で画素等倍に拡大して見ることにより、良いところも、あれっと思うところを見つけられるかもしれません。
技術的な面で見ると、いずれのレンズもボディとレンズの間を電子接点などで情報のやり取りをしていなく、ミラーレスやM4/3ではAFはなく、マニュアルでのピント合わせであるのです。それだけに、レンズの持つ光学性能そのものが写された画像にダイレクトに反映されてくるのではないかと思うわけです。そしてボディとの情報をやり取りする電子回路を含まない分だけ、コストも安くできるのではないかと考えるのです。
【写真7】ケンコー・トキナーブースのサムヤンレンズコーナー(写真をクリックすると大きくして見られます)
この手法で成功した企業としては韓国のサムヤン(SAMYANG)があります。漢字だと三洋光学工業と書きますが、CCTV用レンズの製造なども手がけ、すでに40年以上の歴史があり、かつての韓国チノンが撤退した後を引き継いだと伝えられています。日本ではケンコー・トキナーが総代理店を務めていて、CP+2016でもケンコー・トキナーブースの奥のほうにサムヤンコーナーがあり、既存の製品に加えいくつかの参考展示品も並んでいました【写真7】。このサムヤンのレンズには、天体分野などシビアな性能が要求されるものに対してもマニアが認めるほどの高性能なものが一部にあるというのは、知る人ぞ知ることです。そして今回のCP+会場で、中国のレンズメーカーを遠巻きにじっと見ているベテランカメラ技術者がいました。その人によると、かつて関西のカメラメーカーの優秀な若手レンズ設計者がサムヤンにいて、いまも活躍しているというのです。それをケンコー・トキナーの担当者と話していたら、「やはりそうですか、どうも日本人の匂いがしていると思っていた」というのです。
そして中一光学のブランド名は“ミタコン”であるわけですが、かつて日本の三竹光学の中国工場をMitakonのブランドを含め引き継いだ結果だというのです。今回ここ紹介した、サムヤン、キポン、中一光学のいずれもが日本に何らかの関係があるわけです。それらの企業がだす交換レンズは、今後どのような展開があるのでしょうか。少なからず日本のユーザー、レンズメーカーにとっても無関係な存在ではないと思うのです。