●RF35mm F1.8 MACRO IS STMレンズにて
≪作例10≫ 紅葉:F3.5・1/100秒、ISO100、AWAB、手持ち撮影(画像をクリックすると画素等倍に拡大して見られます)
≪作例10≫ 紅葉:F3.5・1/100秒、ISO100、AWB、手持ち撮影。手前の紅葉は鮮やかに、奥のテーブルの周囲の下草はボケ具合にムラがなく、色調的にも柔らかく再現されていました。ピクチャースタイルはスタンダード。
≪作例11≫ ツタの紅葉: F4.5・1/160秒、ISO100、AWAB、手持ち撮影(画像をクリックすると画素等倍に拡大して見られます)
≪作例11≫ ツタの紅葉: F4.5・1/160秒、ISO100、AWB、手持ち撮影。右上のクモの糸にぶら下がった枯葉を拡大すると解像力の高さがわかります。
≪作例12≫ 野の花:F4.5・1/160秒、ISO100、AWAB、手持ち撮影(画像をクリックすると画素等倍に拡大して見られます)
≪作例12≫ 野の花:F4.5・1/160秒、ISO100、AWB、手持ち撮影。最近接距離で撮影しましたが、右端の花は直径8mmぐらいです。花びらの内側に落ちた花粉がしっかりと解像しているのです。
≪作例13≫ 新宿の夜景:F1.8・1/100秒、ISO100、WBD、手持ち撮影(画像をクリックすると画素等倍に拡大して見られます)
≪作例13≫ 新宿の夜景:F1.8・1/100秒、ISO100、DWB、手持ち撮影、絞りF1.8開放で中央右の焼き鳥釜めしの看板にピントを合わせましたが、全体的にコントラストもあり、すごくシャープです。画面空がわずかにマゼンタ味を帯びているのは、ホワイトバランスをデーライトにセットしたためです。
≪作例14≫ 新宿夜景のボケ具合:F1.8・1/64秒、ISO125、WBD、手持ち撮影(画像をクリックすると画素等倍に拡大して見られます)
≪作例14≫ 新宿夜景のボケ具合:F1.8・1/64秒、ISO125、DWB、手持ち撮影。絞りF1.8開放で手前の道路柵のポールにピントを合わせました。背後のさまざまな光源はきれいにボケています。左右周辺でわずかに口径食の影響がでていますが、F1.8と開放絞りで、撮影距離が近いため、ある程度は致し方ないでしょう。
≪作例15≫ チノパン: F1.8・1/60秒、ISO800、AWAB、手持ち撮影(画像をクリックすると画素等倍に拡大して見られます)
≪作例15≫ チノパン: F1.8・1/60秒、ISO800、AWB、手持ち撮影。イスに座って撮影後にカメラを足の上に載せて遊んでいたら、シャッターを切るとこんな写真が撮れたのですが、絞りF1.8の深度がよくわかるのです。さらに画素等倍に拡大したらビックリです。カットを見てわかるのは、深度は拡大率によって変わるということです。
≪作例16≫ 瞳AFの効果:焦点距離105mm、絞りF5.6・1/250秒、ISO100、AWB(画像をクリックすると画素等倍に拡大して見られます)
≪写真5≫ 瞳AFがマッチングした時のAFフレーム(画像をクリックすると大きくして見られます)
●ミラーレスならではの瞳AF
ミラーレスになってうれしいことは、使う人によってさまざまですが、一眼レフになくて、ミラーレス一眼にあるのは、顔認識であり、瞳AFです。先日も、仕事で学校写真を撮っている女性カメラマンから、やはりミラーレスでなくてはダメでしょうかね? と聞かれました。なくても何とかなりますけど、かなり気軽に撮れるようにもなるかもしれませんね。そして特定の人物を記憶させて追いかけることもできますから、と答えました。一般の人でも、ポートレイトを撮る人にとっては便利この上ない機能です。早速EOS Rでの顔認識と瞳AF機能を使ってみました。この機能、自宅でセットアップして機能チェックをするときには、パソコンモニターに、大きく顔を映し出し、画面の顔をとらえ、さらに近づくか、ズームして瞳にAFフレームが行ったときに、瞳にピントが自動的に合うことになります。今回は運よく、モデル撮影会に誘われましたので試してみました。浜松町日の出桟橋から浅草までの水上バスのデッキでの撮影です。レンズはRF24〜105mmF4 L IS USMですが、焦点距離105mmで撮影しました。
≪作例16≫瞳AFの効果:焦点距離105mm、絞りF5.6・1/250秒、ISO100、AWB。瞳AFが働くのはだいたいバストショットあたりからで、さらに近づくとより認識能力があがります。それ以上離れていくと顔認全体をとらえる識機能が働くのですが、条件にもよりますが、縦位置の全身ぐらいまでは顔認識が働きました。作例15では、わざと顔を少し右に寄せていますが、最初から右の顔の瞳にピントが合うわけでなく、まずはフレーミングで中央に顔を配置し、顔認識から瞳認識に移ったところで、顔を右方向にずらしていくと瞳認識のAFフレームが追随してくるので、ちょうどよいという所でシャッターを切ります。このカットでは≪写真5≫に示すように向かって左側の目に合わせていますが、画素等倍まで拡大すると右目にピントがあり、左目は微かにボケています。この差をプリントにだすとするとかなり大きく伸ばす必要があります。
≪写真6≫ 左からタムロンAF28〜200mmF3.8-5.6 ASPH.LD(IF)、EOSRとアダプターに取り付けられたキヤノンEF28mmF2.8、シグマEX DG20mmF1.8(画像をクリックすると大きくして見られます)
■キヤノン純正マウントアダプターで一眼レフ用EFレンズを付けてみる
キヤノンの純正マウントアダプターは4種あり、マウントアダプターEF-EOS R(15,000円)、コントロールリングマウントアダプターEF-EOS R(30,000円)はボディとともに発売されましたが、ドロップインフィルターマウントアダプターEF-EOS R:円偏光フィルター付き(45,000円)、可変NDフィルター付き(60,000円)の2種は2019年の2月下旬です。ここでは最も基本で安価な“EF-EOS R”アダプターを純正EFレンズと、交換レンズメーカーのシグマとタムロン製のものを使ってみました。
≪写真6≫には、左からタムロンAF28〜200mmF3.8-5.6 ASPH.LD(IF)、EOSRとアダプターに取り付けられたキヤノンEF28mmF2.8、シグマEX DG20mmF1.8を示しました。このうちキヤノンEF28mmF2.8は1987年発売のEOS650に合わせて買ったレンズですから、かれこれ30年以上前のものです。APS-C判のEOS MのマウントアダプターEF-EOS Mの時もそうでしたが違和感ない仕上げでしたが、さすがマウント口径が大きくなった分だけ、段差があるのは致し方ないというところでしょうか。
そのAF作動ですが、純正のキヤノンEFはいうまでもなく、サードパーティーのタムロンもシグマもおもしろくないほどすべて動作するのです。いずれの3本ともUSMでなくモーター式のものですから、その古さはお分かりいただけるでしょう。さらに、手元にあったEOS650発売直後の複数の望遠系シグマAFレンズ、タムロンSP AFマクロ90mmF2.8(72E、1996年)もすべてAFは動きました。これはシステムを考えたキヤノンがすごいのか、それに追随したシグマやタムロンがすごいのかということですが、少なくとも30年間不動であるわけですからすごいことです。
ところで冒頭にも書きましたが、レンズ交換するときボディの電源がOFFだとシャッター羽根が降りて撮像素子が直接露出していないのです。これはマウント基部から撮像面までの距離が短いショートフランジバックのボディにおいては、すごく安心感ありました。また、EF側の電気接点は8個、EOS R側の電気接点は12個、好奇心旺盛な人はどのように端末処理しているか、開けてみたくなりますね。そして、マウントアダプターが丸いのも、私は好感もてました。ソニーのアダプターのように内部に絞り羽根制御、AFカプラーのためにアクチュエーターが3つも組み込まれているときは下に出っ張っていても致し方ないですが、キヤノンは単なる電子回路だけでしょうから、丸い方がボディを固定したままレンズ交換できますから、カメラポジションが変わらず、光軸も動かないのです。
■サードパーティのマウントアダプターを使ってみました
ミラーレス機のもうひとつの魅力(僕にとっては一番)は、マウントアダプターを交換することにより、各社のさまざまな交換レンズが使えることです。このうち僕にとって最も魅力は、レンズが小型のライカMマウント用アダプターです。これはEOS R発売と同時に焦点工房とKIPONから発売されていましたので。ここではKIPON製のL/M-EOS Rを使ってみました。価格的にはどちらも同じで、カメラもそうかもしれませんが、こちらも早いもの勝ちであり、価格競争も熾烈です。サードパーティーの対応マウントの種類は豊富で、KIPONは28種、焦点工房は8種用意しているようです(2018年12月現在)。
≪写真7≫ ライカMマウント用アダプターを介してライカズミクロン35mmF2(第2世代)を装着(画像をクリックすると大きくして見られます)
さっそくライカMマウント用アダプター介して、お気に入りのライカズミクロン35mmF2(第2世代)を付けてみました≪写真7≫。取り付けは特に変わったことはありません。ただ、EOS Rの手ブレ補正はデュアルセンシングISと呼び、レンズ側のジャイロセンサーに加え、カメラのイメージセンサーからもブレ量を検出して、2つの情報を比較解析することで、レンズ側で検出できなかったブレも高精度に検知、補正可能になり、レンズの光学ISと合わせて最大5段分の補正を達成したというのです。この手ブレ補正は、2018年9月現在で「RF24〜105mmF4 L IS USM」と「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」のみ対応可能となっているので、マウントアダプター使用時の他社レンズでは手ブレ補正は効かないことになります。
■マニュアルフォーカスでのピント合わせ
実は、ミラーレス機の場合、マニュアルフォーカス時のピント合わせがやりやすいか、やりにくいかは僕の場合は大きな注目点となります。ミラーレス一眼になって、一番驚いたのはレンズのピントというか、許容錯乱円という考え方が、ある意味根底から崩されたのです。例えば、28mmという焦点距離のピント合わせは、フィルムカメラ時代はパンフォーカス的にざっと合わせればよかったのですが、実際撮影後のデータを拡大して見ますと、やはりピントというか合焦点は1点しかないのです。私の経験では、焦点距離10mmとか15mmでも、F8とかF11に絞っても、やはりピントは1点なのです。もちろん、プリント拡大寸法(鑑賞サイズ)をどのくらいにするか、鑑賞距離をどのくらいにするかによっても、大きく変わりますが、デジタルの画質評価はパソコンモニター上の画素等倍であり、展示はA3ノビがスタンダードサイズで、必要によっては畳1畳ぐらいのプリントも簡単にできるのがデジタルなのです。一度、この大伸ばしの魅力を知ってしまうと、ピント合わせはマニュアルでしっかりと合わせようとなってしまうのです。もちろんこれだけの大きさに拡大するためには、ピントがしっかり合っていて、ブレのないことが重要になります。
特に僕の仲間は、オールドレンズを使う人が多い(フルサイズミラーレス一眼の神髄はここにある)のですが、このマニュアルでの拡大ピント合わせがどれだけ行いやすいかが、チェックポイントなのです。その利用法は、純正のレンズの場合にはレンズのフォーカスモードスイッチはAFでもMFでもよく、マウントアダプターによるMFレンズの場合にも、≪写真4≫に示したように、ボディ右肩背面のルーペマーク脇のAFフレーム拡大縮小ボタンを押した後に、INFOボタンを押すことにより5倍の拡大表示となり、ここでメイン電子ダイヤルを左右に回転させることでフォーカス位置を左右に、サブ電子ダイヤルを左右に回転させることにより、上下方向に動かすことができるのです。この操作は、背面右の十字キーでも行うことができ、電子ダイヤルの場合は大きく動き、十字キーでは細かく動くので、使い分ければよいわけですが、背面液晶のタッチシャッターをoffにしてあれば、指で任意の場所を押すとフォーカス位置はワンタッチでその場所に設定できます。そしてフォーカス位置が決まったら、さらにINFOボタンを押すと、5倍⇒10倍⇒全画面表示と変化させられます。さらに“AFフレーム拡大縮小ボタンの押し込み”でも全画面表示になりますが、これら操作は若干の慣れを要します。やはり、5倍、10倍のポイントで、ここぞと思ったら、シャッターボタン半押しで一気に全画面表示に戻れれば、シャッターチャンスは倍増するのにと思うわけです。ここは、なぜかニコンZ7も同じですが残念です。