≪写真1≫キヤノンRP(2019年)とキヤノンP(1959年)
キヤノンのフルサイズミラーレス一眼EOS RPが、2019年3月14日に発売されました≪写真1≫。フルサイズミラーレスは2018年10月25日にEOS Rが発売されていますので約5が月ぶりの新製品の登場です。このEOS RPは、キヤノンのフルサイズミラーレス一眼の普及機として位置づけられています。特にそのネーミングは、1959(昭和34)年3月に発売されたキヤノンのレンジファインダー機「キヤノンP(Populaire)」からとったといわれています。このP型、当時としては破格の10万台を販売したというほどのヒット商品であったわけですから、フルサイズミラーレス一眼の普及機にPを付けるということは、キヤノンがEOS RPにどれだけ期待をかけているか、その一端を知ることができるというわけです。
≪写真2≫キヤノンEOS RとキヤノンEOS RP。RPの操作表示部はアナログ的です
■EOS RとEOS RPは何がどう違うのでしょうか?
2018年10月に発売されたEOS Rとこの3月に発売されたEOS RPとは何が違うのでしょうか。もっとも異なるのは、価格と画素数です。EOS R:価格19万円、3,030万画素、最高シャッター速度1/8000秒、連写8コマ/秒、EOS RP:価格15万円強、2,620万画素、最高シャッター速度1/4000秒、連写5コマ/秒となります。このうち価格は、3月中旬の価格COMの最安値を丸めたものです。すでに発売半年ぐらい経っているEOS Rと発売直後のEOS RPにはギャップがあるのは当然ですが、時間の経過でさらに変動するのではないかと思われます。そこで、外観的な違いを見てみたのが、以下の2点の写真です。
いかがですか、≪写真2≫に示すようにRとRPでは操作部の構成がまったく違うのです。まず、Rでは撮影モードが液晶による情報表示であるのに対し、RPではダイヤル表示になっているところです。さらにRでは「M-Fnバー」と呼ばれる新しいスイッチがボディ背面右肩に設けられましたが、RPでは省略されています。これらの操作系は、ユーザーによっては意見の分かれるところであって、画素数が400万少なくても、秒間撮影コマ数が3コマ少なくてもRPの方がいいという人がいてもまったくおかしくないくらいです。
≪写真3≫ボディキャップを外して、それぞれの撮像面を見たところ。左はEOS Rボディ、右はEOS RP。電源OFFで交換レンズを取り外して見ると、EOS RPは撮像素子がむき出しです
≪写真3≫は、ボディキャップを外して、それぞれの撮像面を見たところです。左はRボディですが、電源OFFで交換レンズを取り外すとシャッターが降りて撮像面を覆うのです。右は、RP ボディですが撮像面がむき出しとなるのです。大口径・ショートフランジバックが、この時期登場のフルサイズミラーレス機の特徴ですが、屋外でのレンズ交換では、かなり気を配らなくてはならないでしょう。これは実効的にどうかということよりは、レンズ交換するときの精神的な負担にもなるのです。
さらに細かく見ていくと、EOS Rの初期設定のままで生成されるファイル名は“FN7A0001.jpg”ですが、EOS RPでは“IMG_0001.jpg”なのだとか、1回の充電で撮影コマ数が少ない(電池が小さいので350→250ショット)とか 、いろいろありますが、最も違いがあるのはボディをグリップした時の大きさが私にとってはEOS RPの方が握りやすく、しっくりとくるのです。この差は、仕様には表れない大きな相違点です。
■さまざまな場面で実写してみました
≪作例1≫英国大使館正面玄関。RF35mmF1.8MACRO IS STM、絞り優先AE、F5.6・1/640秒、ISO 100、AWB
ここに掲載した作例は、いずれもリサイズしていませんので、画素等倍にして見ることができます。
≪作例1≫恒例の英国大使館正面玄関。撮影はRF35mmF1.8MACRO IS STMと RF24-105mmF4LIS USMを使っています。これは2018年10月のEOS R発売の時に購入したレンズですが、その後2019年2月にEOS Rとともにファームウエアのアップが発表されていますので、それぞれを最新バージョンにアップして使用しました。いつものように、晴天の日のAM10:30頃、工事中でしたが撮影。画面中央上部のエンブレムに焦点を合わせてあります。
≪作例2≫ハクモクレン。RF35mmF1.8MACRO IS STM、プログラムAE、F7.1・1/400秒、ISO 100、AWB
≪作例2≫ハクモクレン。RF35mmF1.8MACRO IS STM、プログラムAE、F7.1・1/400秒、ISO 100、AWB。花の咲いている位置が遠かったので、接近はマクロレンズでもここまでで精一杯でした。中央下部の花にピントを合わせていますが、大きく拡大すると花びらの質感が伝わってくるほど、繊細な描写をしています。
≪作例3≫デ・ラテンデ邸。RF24-105mmF4LIS USM、焦点距離24mm:F9・1/320秒、ISO100、AWB
≪作例3≫デ・ラテンデ邸。RF24-105mmF4LIS USM、焦点距離24mm:F9・1/320秒、ISO100、AWB。平屋建ての洋館を1910(明治43)年頃、ドイツ人の建築家デ・ラテンデが3階建てにして、1999年まで新宿信濃町に建っていました。空の青、屋根の茶色、白の壁とバルコニーカラーバランスがいい感じに再現されています。特に屋根の部分は拡大して見ると精緻で質感もよくでています。また、RF35mmマクロ、RF24-105mmズームともに色のヌケが良いですが、レンズ以前にボディ側のデータ処理に依存しているようです。
≪作例4≫暖簾をくぐり。RF24-105mmF4LIS USM、焦点距離53mm:F7.1・1/200秒、ISO100、AWB
≪作例4≫暖簾をくぐり。RF24-105mmF4LIS USM、焦点距離53mm:F7.1・1/200秒、ISO100、AWB。江戸東京たてもの園 。台東区下谷の言問い通りにあった1856年に建てられたと伝えられる鍵屋という居酒屋の入口です。女性が暖簾をくぐって何度か出入りし撮影していたのでスナップ。明暗差の激しい場ですが、程よいバランスの露出です。
≪作例5≫縁側の風車。RF24-105mmF4LIS USM、焦点距離72mm:F4.5・1/100秒、ISO100、AWB
≪作例5≫縁側の風車。RF24-105mmF4LIS USM、焦点距離72mm:F4.5・1/100秒、ISO100、AWB。風車が風に吹かれて回転していましたが、天気も良い明るい縁側でしたので早いシャッターが切れ止まって写っています。天気が良かったので、こちらも明暗差のある被写体ですが、暗部右背後に写っている人物は大きくプリントすればちょうどよく顔も描写されるぐらいの露出です。江戸東京たてもの園。