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●写してみたら
 さて、実際どのくらいの写りを示すのだろうか。F0.95レンズならではの開放描写を中心にその結果をお知らせしよう。このレンズが発表され、発売されたときはライカM8、APS-Hの時期であり、画面サイズが小さかった。つまり50mmであっても、M8では66.5mmの焦点距離相当の画角でF0.95を楽しまなくてはならなかった。しかし、わずかな時間の差でM9が発売され、フルサイズ・ライカ判での撮影が可能となった。この違いは大きいと思う。画面周辺をカットしたM8のAPS-Hサイズでは、十分にレンズ性能を見ることはできなかったのだ。

【ポートレイト】ライカM9、絞り優先AE(F0.95)・1/707.2秒、撮影距離1m、AWB、ISOオート
〔画像をクリックすると拡大して見ることができます〕
【ポートレイト】 撮影距離1m、絞りF0.95開放での描写である。ライカカメラ社のテクニカルデータによると、この絞りF0.95開放のときの焦点深度は20mmである。これを許容錯乱円を0.026mmとして自分で計算してみると、前側焦点深度9.3mm、後方焦点深度9.5mm、合計深度18.8mmとなる。この違いは許容錯乱円の取り方か、数値の丸め方によって異なるが、ほぼ同じと見てもいいだろう。したがって、鼻の先端にピントを合わせると、顔の表面、目にはピントはこないぐらいの微妙な深度となる。
  写った結果もかなりそれに近いものがある。撮影時は、目のマツゲに合わせたつもりだが、必要十分なピント精度はでている。そしてわずかな厚み(深度)を持った合焦部はかなりシャープで、階調、色乗りともいい。一部にF0.95はピントが合わないということを聞くが、少なくともM9とノクチルックスM50mmF0.95ASPH.の関係では、だいたいねらった通りにピントはくる。ディストーションは画面左の柱の線からすると、わずかなマイナス(樽型)の歪曲を感じるが、たぶん前のタイプよりは少ないのだろう。画面、左上にはアサヒビールのポスターが貼られているが、それと知って見れば解読できるが、ここまで大きくぼけるとわかりにくい。さらに画面右下には、わずか背後にあるアウトフォーカスした人形の衣服のメタル状の飾りが輝いており、その部分を大きく拡大するとコマの発生が読みとれる。コマ収差の発生は点光源が軸外にあったとき、大口径ガウスタイプならではのもので、開放絞りでは避けがたいものとして存在するが、1〜2絞りほど絞り込めばまったく消え去ってしまうというのが一般的である。総じて、ボケ具合は癖はないが、ふだんコンパクトデジタルカメラを使っているような方にとっては、驚くような大きなボケ描写だろう。


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