●最もライカ的なコンパクトカメラ
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【モードダイヤル】左がシャッター、右が絞り用のダイヤルだが、当然のこととして電源をONしなくても確認でき、回転だけで簡単に設定できる |
さて本題に入ろう。最もライカ的なのは、ボディ外観が手に持ったとたんライカ的だと感ずるところだ。基本的なボディラインが、円筒形のパイプを押しつぶしたようなライカの基本形であるバルナック型そのものなのである。手元にあるC型と比較すると、横幅でX1=124mm、C型=133mmなので約10mmコンパクト、厚みは30mmでどちらも同じとなる。フィルムカメラの時代を含めて過去にさかのぼると、最もライカ的なコンパクトカメラだ。逆にいえば、デジタルだからできたライカフォルムといえるだろう。
ボディはジュラルミンとアルミの成形品だということだが、金属そのものである。先程の梱包からボディを取り出したときには、恐ろしく軽いボディだと感じたが、カメラ本体だけをいじりまわしていると、いつの間にか寸法に見合う十分な重さを感じるから、人間の感覚は不思議なものだ。
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【内蔵ストロボ】ストロボは円筒部分を軽く押し込むとポップアップする。 |
モード設定のボタン、ダイヤル操作も特に難しくはなく、取扱説明書がなくても困ることはない。特にトップカバーの絞り数値の刻まれたダイヤルとシャッター速度の刻まれたダイヤル目盛りを“A”マークに合わせれば、プログラムAE、どちらかをAから外し数値セットすれば、絞り優先AEかシャッター速度優先AEになり、どちらもAから外せばマニュアル露出となるあたりは、表示もアナログそのものだし、直感的に理解しやすい。カメラを構えて、トップカバー左上の丸い部分を押し込むと、発光部も丸くなった円筒形のストロボがアップする。円筒形のバルナック型ボディに、円筒形ストロボ、デザイン的にもオリジナリティーを持たせるという意味でも、最もこだわった部分だと思う。
●コンパクトだけど高感度が得意
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【暗闇での撮影】深夜、提灯の明かりと遠くの水銀灯の明かりを頼りに撮影してみた。目にも、うっすらとしか見えないので、合焦には少し苦労したが、写った結果は立派なものだ。
プログラムAE(F2.8・1/30秒)、AWB、ISOオート(ISO2500)、伊香保おかめ行列(2009.12.31、23:32)
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オートフォーカスは、1点、1点高速、11点、11点高速、スポットAF、顔認識と6種から選ぶことができる。1点と11点には高速というモードがある。どれを使うか迷うが高速のほうがいいだろうから、基本的には4種類から選ぶことになる。購入時の基本設定は“1点高速”である。スポットAFはかなり狭角だが、レンズの焦点距離、F値、カメラの特性からして、この“1点高速”モードにセットしておくのがベストだろう。
ISO感度は、オートのほか100・200・400・800・1600・3200のマニュアルが選択できる。ISOオートはISO100〜3200の範囲で感度が自動変化する。最高感度設定はユーザーが任意に設定できるが、出荷時の最高感度設定は1600である。コンパクトデジタルカメラのISO感度にはなかなか難しいものがある。感度数値が振ってあるからといって、高感度にセットして撮影してみたらノイズだらけで使い物にならなかったということを良く聞く。これは実用的な感度範囲と数値の振ってある感度範囲とは別だということだ。そのような場合には、ISOオートにセットすれば、自分が画質的に許容できる設定範囲内で感度が自動的に可変する。したがって、X1の場合には初期設定のISO1600までが実用的に許容できる画質だと考えてよいはずだ。だからといって、常にISO1600にセットしておけばそれでいいのかというとそうではなく、やはり可変範囲内で低い感度で撮影したほうが高画質であることはいうまでもなく、ISOオートセットで使うのが得策だ。
このあたりの高感度が、小型撮像素子を使ったコンパクトカメラと大きく異なる点で、画素ピッチ約5.5μmでミドルクラス一眼レフに使われているAPS-Cサイズの撮像素子を使ったコンパクトカメラの大きな特徴のひとつである。
またISOオート設定のモード中では最長シャッター速度も選択制限できる。プログラムAEと絞り優先AEの場合に、最長シャッター速度を1/30秒、1/15秒、1/8秒と設定でき、絞りが開ききり、手ブレ限界シャッター速度に達すると感度が自動的にアップしていく。ISO感度、手ブレ限界シャッター速度の選択は個人の好み、高感度能力によっても異なるので、とりあえずは、安全を見込んで初期設定値1/30秒のままにしておくのがいいだろう。