■クラシックから最新まで、各種交換レンズを使ってみました
≪写真8≫ 今回の撮影に使ったレンズ(画像をクリックすると大きく見られます)
≪写真8≫今回の撮影に使ったレンズ
上 左から、ズミクロン35mmF2第2世代(お気に入りだから)、ズマリット35mmF2.5(6ビットコード付きだから)、ズマリット50mmF2.4(6ビットコード付きだから)、フォクトレンダー・ノクトン50mmF1(最新2022年1月発売で大口径だから)、下左から、スーパー・アンギュロン21mmF4(撮影可能かを見るために)、キヤノン25mmF3.5(周辺光量の減少具合を見るために)、ヘクトール135mmF4.5(距離計連動の限界焦点距離の感じをつかむため)。
ここに用意したレンズは、ライカM11の特徴を見るために用意したものであり、これが所有のライカマウントレンズのすべてではありません。(^_-)-☆
■いつもの英国大使館の正面玄関を撮影
≪作例1≫ ズマリットM35mmF2.5(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例1≫ズマリットM35mmF2.5
F5.6・1/400秒、ISO-AUTO 64、AWB。ピント合わせはライブビューと拡大で行いました。画素等倍まで拡大して見ると、わずかにほかのレンズより解像度が低い感じがしますが、これはピント合わせが甘かったのかもしれません。ただズマリットM35mmF2.5の描写は柔らかな描写とボケ味が特長なので、そのあたりとの兼ね合いであり、ふだん使っている限りはまったく不足は感じませんし、むしろ好みの描写特性です。現行品にはこのほかに、ズミクロンM35mmF2 ASPH.、APOズミクロン35mmF2 ASPH.もあるので、価格に合わせて描写の異なるのも納得いきます。
いままでライカのレンズの設定絞り値はメモしておかなくてはなりませんでしたが、6ビットコード付きのレンズの場合には「算出された大まかな絞り値をExifファイルに記録する」ということでしたので、Exifデータを読むとF5.6とでてきました。この設定絞りのF値は、撮影データを何で展開するかによって異なり、Exifデータを読めてもF値を表示できないソフトもあるので注意が必要です。ちなみにズマリット50mmF2.4で同じ場面を同じ絞り設定で撮影してみましたがF5.6とExifデータは記録されました。手元にあったM9では設定より半段ほど違う値がでましたが、撮影条件の違いか、ボディの違いによるのかは判りませんが、「算出された大まかな絞り値をExifファイルに記録する」ということなので理解しました。この設定絞り数値の表示はないよりはあった方が絶対いいわけで、私のように絞り値変化の描写を楽しむ者にとっては便利です。“ライカというと使用レンズはオールドレンズ”という思い入れが強く、6ビットコード付きレンズは焦点距離のExifへの書き込み、広角では周辺光量の補正というレベルの認識でありましたが、反省です。
■ライカM11のCMOSセンサー
ライカM11の特徴に撮像素子であるCMOSが基準感度ISO64であることがあげられています。ライカの場合には大口径レンズを開放絞りで使うことも多く、ISO感度が低く設定できることは、最高シャッター速度にもよりますが高輝度撮影環境下でも絞り開放での撮影が可能となります。また、RAWデータであるDNGの解像度が、60Mピクセル、36Mピクセル、18Mピクセルと選択できるのにどの解像度でもすべてのピクセルを使うトリプルレゾリューションテクノロジーという技術を使い、高いディテールの再現と幅広い感度を実現したというのです。
≪トリプルレゾリューションテクノロジーとは≫
≪写真9≫ トリプルレゾリューションテクノロジー(画像をクリックすると大きく見られます)
≪写真9≫はライカカメラ社のカタログからの転載ですが、60Mピクセル(9504x6320)、36Mピクセル(7392x4896)、18Mピクセル(5248x3472)それぞれが、単純に画素が間引かれるのでなく、複数画素を組み合わせて低解像度としているので、1ピクセル当たりの面積が広くなるので階調再現が良くなり高感度が可能になるというのです。
≪作例2a≫ Lサイズで撮影、60Mピクセル(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例2b≫ Sサイズで撮影、18Mピクセル(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例2a、作例2b≫の写真は、ライカMマウントの50mmレンズをF2.8にして60Mピクセルと18Mピクセルで撮影したときの描写ですが、この撮影ではその差を見出すことはできませんでした。その差が著しくでるようだと逆に問題なのかもしれません。なお、撮像素子の前面には極薄のガラスを2層に重ねたUV/IRカットフィルターが配置されていて、薄いことにより急な角度で入射する光線も効果的に取り込むことができるとされています。
■M11は撮像面測光
ライカがデジタルになって歴史的な一部広角レンズではTTL測光ができなく、私の場合にはスーパー・アンギュロン21mmF4が使えなく、すっかりその存在を忘れていましたが、M11ではどうだろうかということが一部で盛り上がっていましたが、レンズ後部やガードがシャッター幕に物理的に接触するようなことがなければ、原理的に考えるとライカM11は撮像面測光なので問題なく撮影できるだろうと考え試してみました。
≪作例3≫ M11でSUPER-ANGULON 21mmF4(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例3≫M11とSUPER-ANGULON 21mmF4
F5.6・1/320秒、ISO-AUTO 80。巻頭の英国大使館の撮影を行ったときにスーパー・アンギュロン21mmF4でも撮影してみました。ご覧のとおり写ります。周辺光量の低下は裏面照射型CMOSセンサーなのでまずまずですが、これが一時代前の同じフルサイズのM9では測光センサーをレンズ本体が邪魔するのでまったく使えませんでした。この撮影データのExifを読んでみると、焦点距離は0mm、開放絞りはF4、設定絞りはF5.6とでました。6bitコードのないレンズですが、偶然でしょうか?実写でもう少し追いかけてみる必要がありそうです。
≪写真10≫ ライカM11とM9の測光機構(画像をクリックすると大きく見られます)(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪写真10≫ライカM11とM9の測光機構
左:撮像面測光のM11には暗箱内部にはセンサーはないのです。右:M9のシャッター幕面は上下中央は白色に近い薄いグレーで、上下は18%グレーに塗装されています。この部分を暗箱下部から測光するので中央部重点測光となると考えられます。測光センサーはメインの中央以外に小さいのが2つ配置されていますが、それぞれの役割は不明です。右下のインサート画面は、別の場所でM9にスーパー・アンギュロン21mmF4で撮影した画像ですが、まったく使えないのがわかります。
■さまざまな場面で撮影してみました
≪作例4≫ ズマリットM35mmF2.5:「目」(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例4≫ズマリットM35mmF2.5:「目」
F4・1/160秒、ISO-AUTO250、AWB。なかなか都心には出にくいですが、用事のついでに撮影しました。銀座和光のウインドウディスプレイ。2022年はトラ年ですが、トラの目が時々動くのが愛嬌です。6000万画素と高画素ですから拡大するとトラの毛がふさふさなところ、磁器のティーカップなどの絵柄もしっかりと描写されています。(銀座にて)
≪作例5≫ ズマリットM35mmF2.5:表具店の店先(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例5≫ズマリットM35mmF2.5:表具店の店先
F5.6・1/350秒、ISO-AUTO64、AWB。看板の白い文字に影響を受けてでしょうが、コントラストの高い画像として仕上がっています。プリント時の拡大倍率にもよりますが、濃度域の広いしっかりとした画像に仕上がっています。(川越にて)
≪作例6≫ ズマリットM35mmF2.5:トルコ人の地鎮祭(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例6≫ズマリットM35mmF2.5:トルコ人の地鎮祭
F5.6・1/180秒、ISO-AUTO64、AWB。昭和レトロな洋館長屋のような川越の建物ですが、ここ数年で街全体がさらなる観光地化に向けてリニューアルされています。しかしトルコの旗で囲われた地鎮祭も、東京近郊の観光地川越ならではの光景でしょう。(川越にて)
≪作例7≫ ズマリットM35mmF2.5:モグラの巣穴(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例7≫ズマリットM35mmF2.5:モグラの巣穴
F8・1/225秒、ISO-AUTO64、AWB。冬枯れした草木を見ながら川べりを歩き、増水で枯れ草の絡んだ木など数カット撮りましたが、何となく寂しい感じが多く、どうにか納得できたのがモグラの巣穴でした。“春よ来い”といった気分です。(東村山にて)
≪作例8≫ ズマリットM50mmF2.4:ミツマタの花のつぼみ(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例8≫ズマリットM50mmF2.4:ミツマタの花のつぼみ
F4・1/640秒、ISO-AUTO64、AWB。VGA画像ではわかりにくいですが、中心の花のつぼみにはしっかりピントがきていて細かい産毛まで分解しています。ミツマタは和紙の原料となりますが、花は黄色く可憐です。
≪作例9a≫ ライカM11、F5.6・1/3秒、ISO400、AWB、(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例9b≫ ソニーα7R検F5.6・1/3秒、ISO400、AWB(画像をクリックすると画素等倍まで拡大して見られます)
≪作例9c≫ ピントを合わせた部分(画像をクリックすると大きく見られます)
≪作例9≫ズマリットM50mmF2.4:ひな人形
近所を歩いても冬枯ればかりです。少し歩いた先にキャベツ畑がありましたので、パチリしました。ここで不思議なことを気づきました。撮影後、PCでデータを整理していると、泥の粒子のような部分を徐々に拡大していくと、他社とは異なり早く溶けたようなヌメットした描写になるのです。当初は、撮影レンズの解像力が低いからなどとも考えましたが、気になるので、同じレンズを使って、同じ6000万画素数のソニーα7R犬覇韻絃貊蠅縫團鵐箸鮃腓錣擦道1討靴導稜Г垢襪肇薀ぅM11はα7R犬茲蟒世蕕い描写になるのです。冬枯れの腐ったキャベツの葉っぱではどうも画になりにくいので、改めて別な場面でとひな人形をチャートに撮影してみました。
≪作例9a≫ライカM11(F5.6・1/3秒、ISO400、AWB)、≪作例9b≫ソニーα7R検F5.6・1/3秒、ISO400、AWB)です。条件を同じにするために撮影レンズを同じにして、絞り値、ISO感度をマニュアルで400にそろえ、≪作例9c≫に示すように同じポイントにピントを合わせました。どちらもJPEGのLサイズですから、画素数的には、M11が9504×6320ピクセル、α7R犬9504×6336ピクセルで、ほとんど同等なわけです。色再現の特性はライカが見た目より鮮やかに、ソニーはオリジナルに近く渋めです。同じ拡大率でM11が拡大率を徐々に変えみるとPhotoshopでは66.7%でその差がわかりました。いろいろ素人なりにその違いを考えましたが、色再現などは別にして、画像処理に対するシャープのかけ方など、それぞれの社の設計思想の違いかとも思われます。英国大使館のエンブレムの拡大描写が何となくあまくみえたのも関係ありそうです。いずれにしても通常のプリント作品制作の拡大率では、発色具合は別にして同じ6000万画素のライカもソニーも差はでないと考えます。