●描写性能ではやはりズミクロンが一番
やはりフィルム時代ならいざ知らず、実写結果では周辺光量の低下では、最新のズミクロンが最もいい描写を示したことになる。今回は、それぞれのレンズをある程度絞って撮影しているが、ズミクロンの場合には絞り開放のF2で撮影してみても口径食はほとんど感じられないほどだし、F5.6に絞って撮影した時にはビグネッティングの影響はほとんどなくなるというライカカメラ社のテクニカルデータどおりに均質性の高い画像が得られた。これはもちろん青空を入れた無限遠という条件だからわかるわけで、室内など撮影条件によっては、周辺光量の低下は気にならない場面もある。ただし、これはレンズそのものの明るさを置いといての話であって、ヘクトールのF6.3からズミクロンのF2まで、3.5段明るくなったわけだし、何にも増して28mmという焦点距離で、F2開放のボケ描写を活かした撮影というのはヘクトールとズマロンでは逆立ちしても得られない描写というわけだ(暗くてもヘクトールの薄型で100gと言う重さも魅力だが)。やはり新しいレンズには、新しいだけの良さが十分にあることを再認識した次第だ。
ここに示した描写特性は、M9との組み合わせで初めて成立するものであって、フィルムカメラやM8ボディではまた別の結果を示すことにもなる。そして何よりも、作品として写真をどの大きさまで引き伸ばして鑑賞するかというのが一番のポイントだと思う。何しろフィルムのときには、基本は六切りか大四切、大きくても全紙程度であったのが、デジタルでは基準が半切相当のA3ノビ、さらにはメートル幅にも伸ばしたものも多く見受けるようになった。画素等倍の描写というのはメートル幅に伸ばしたくらいで初めて効いてくるはずだし、それもプリンターの性能によっても変わってくることは十分に考えられる。
最後に、つまらないチャートのような写真ばかりお見せしたのでは恐縮なので、「群馬県野反湖」での私の28mmレンズによる最新作をお見せしよう。
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<結氷する野反湖/2010.5.3>
ライカM9、ズミクロンM 28mmF2 ASPH.、絞りF5.6・AE(1/1500秒)、ISO AUTO(ISO160)、AWB。
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