【作例1】左がオリジナルズマール、右がコーティングズマールである。このときは真剣に撮影していないので、ピントはいまいちだが、ズバリいってオリジナルズマールはフレアで使えないレンズだと思った。露出は、オリジナルがF2・1/90秒、ISO1000、コーティング品はF2・1/60秒、ISO800。両方の画面を見ておわかりのように背後の窓からの直射光にもろに影響を受けたようだ。念のために付け加えると、よけいな光がレンズ表面に入らないようにとM9のズマール5cmF2のように、以後の撮影にはすべてフードを装着して撮影したが、ズバリ正面、逆光状態ではオリジナルズマールは弱いようだ(ここでいうオリジナルは、75年前そのままで手を加えていないことを意味し、ヤケなどの経時変化の要素も含んでいる)。(埼玉県・川越にて)
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作例1
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作例2
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【作例2】オリジナルズマール。M9、F2・1/2000秒、ISO160。同じ場面で三脚を立てて、画面中央のツバキの花にピントを合わせてある。コーティングズマールと比較すると、中央部背景のアウトフォーカス部に方向性を感じるが、これは個体差レベルだろう。絞り開放、曇天だとこの程度の描写になる。(群馬・渋川にて)
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作例3
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【作例3】コーティングズマール。M9、F2・1/3000秒、ISO160。画面中央のツバキの花にピントを合わせてあるのは同じだが、全体にツバキの花が鮮やかに見え、シャドーとなる緑の葉の部分描出も鮮やかだ。ただ全体的に見る限りではどちらもフレアっぽさがあり、画質という面では大きく変わるほどではない。同じ絞り値、撮影感度でシャッター速度が0.5段速く切れてコーティングによる増透効果を確認できるが、このあたりが再研磨とコーティングの成果だろう。(群馬・渋川にて)
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作例4
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【作例4】コーティングズマール。M9、F2・1/4000秒、ISO160。画面中央のアウトフォーカス部に円を描いたような非点収差を見ることができる。その周辺を拡大するとお茶の葉の形でリング状に2線ボケがでている。全体に色鮮やかで、シャドー部の色濁りもあまり感じさせない。同じ絞り値、撮影感度でシャッター速度が0.5段速く切れているが、発色、色濁りを含めて、再研磨、コーティングの効果だろう。あくまでも比較だが、背後の茶畑が終わるところのボケ具合は直線的できれいだ。(静岡・牧之原にて)
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作例5
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【作例5】オリジナルズマール。M9、F2・1/3000秒、ISO160。画面中央のアウトフォーカス部に円を描いたような非点収差をわずかに見ることができる。その周辺を拡大するとお茶の葉の形でリング状に2線ボケがでるあたりは、コーティングズマールと個体差の範囲で収差の出方などはほとんど変わらない。全体に色濁りを感じさせるが、致し方ない。何しろこのレンズが生まれた時代は、カラーフィルムはなく、基本的には黒白写真の時代だったのだから。(静岡・牧之原にて)