|
ライカM8とM9 |
待望の「ライカM9」が2009年10月に発売された。M8の発売が2006年末だから3年ぶりのニューモデルとなる。この間、M8.2が発売されているが、ネーミングが示すように大きな改良ではなかった。
さて待望の「ライカM9」と書いたが、何が待望であったかというと画面サイズ(撮像素子)がM8のAPS-H判(18×27 mm)から、24×36mmフルサイズのライカ判になったことだ。これはライカの広角系を好む僕にとっては朗報である。たとえば焦点距離21mmのレンズを持っていたとすると、APS-H判のM8で使用すると、1.33倍をかける必要があり、焦点距離28mm相当の画角になってしまう。同じように24mmなら32mm相当にというわけだ。ところがM9は、フルサイズなので21mmは21mmとして使えるわけで、こんなにうれしいことはない。
●M9とスーパーアンギュロン21mmF4
|
僕のお気に入り。スーパーアンギュロン21mmF4の
なだらかな周辺減光
(“窓の向こうに”より、M6TTL、RDP掘 |
M9がやってきたらまず試してみたかったのが、僕の所有するスーパーアンギュロン21mmF4がどのような写り具合をするだろうかということだった。このレンズの発売は、いまから50年以上も前の1958年で、いわゆる対称型の4群9枚構成。この対称型レンズは、ボディに装着した状態ではきわめて薄型だが、レンズ単体でみると2倍以上の長さがある。つまりレンズ全長の半分以上はボディの中に隠れてしまうのだ。したがって一眼レフのようにボディ暗箱の中にミラーがあるタイプには対称型レンズは採用されていない。
早速、M9ボディに取り付けてシャッターを切ると、あれっとびっくりした。画面周辺が赤く発色しているのだ。さて、これはどうしたものだろうかと困ってしまった。M8では周辺光量は低下しても、赤く色づくことはなかった。
そもそも僕がスーパーアンギュロン21mmF4をお気に入りのわけは、シャープで、歪曲収差がまったくなく、さらにこの周辺光量落ちの具合がなんともいえないのが魅力だ。特に超広角では、中央に主要被写体を置くことが多いが、その被写体を際立たせる効果がある。周辺光量が低下している画像といっても、その度合いによって微妙に効いてくる。極端に黒く落ち込むとつまらないし、なだらかに徐々に落ちていく、この減少加減が絶妙なのがスーパーアンギュロン21mmF4だ。