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講演会場風景。左はカウフマン氏、右は当日のコーディネータで通訳をされた竹田正一郎氏(ライカX1で撮影) |
まずライカカメラ社の現況としては、
☆ライカの製品は、技術に裏付けされたプレミアム製品を目指す。
☆ライカの製品は、置き換えられない独自のデザインである。それはドイツのデザインであり、ヨーロッパのデザイン思想に根付いた簡素性である。
☆ライカは価格競争には加わらない。
☆ライカは新しい市場を作りたい。その一例として、中判一眼レフのライカS2を発売した。
☆製品を作るにあたっては世界中の高度な部品を使いたい。
☆製品は技術的に高度なものを作っていく。その一例として非球面レンズを2面に使ったズミルックス35mmF1.4ASPH.を発売した。
☆ライカはプロ用映画機材に進出する。[2010年に開かれたラスベガスでのNABショーにて、バンドプロ社からPLマウントで10本のズミルックス-C16mmT1.4、18mmT1.4、21mmT1.4、25mmT1.4、35mmT1.4、40mmT1.4、50mmT1.4、65mmT1.4、75mmT1.4、100mmT1.4が紹介されています。カウフマン氏によると、今後さらに2本が追加される予定で、いずれも画面サイズは24×36mmをカバーするそうです]
また、現在のカメラ技術全般に対しては、
★ライカは、撮ったままの画像で見たままに写るのが一番いいと考えているので、電子修正技術は取り入れない。そして、どんなに電子修正技術が進んでもレンズ技術を抜くことはできないと考える。
★デジタルカメラの画素数はこれからも進化するだろうが、ミラーボックスやシャッターの不要となる技術が登場するのではないだろうか。
★普及カメラには小さいレンズを5〜6本使い、高級レンズ並みの高品質な画像を得るような技術ができるだろう。
★普及品には秒間10コマ、60コマという速度がどれだけ意味があるのだろうか。同様にAFのスピードも全員がスポーツ写真を撮るわけではないということがある。
Dr.カウフマン氏によると、さらに次のテーマは「人間と画像」ということで“なぜ人間は写真を撮るのだろうか”ということだそうだ。写真の画像は何の目的か、それはカメラ産業にとって何か。それは、(1)思い出、(2)生きるため、(3)芸術のためであり、これを念頭に置きカメラ産業を考えていくという。
最後に、ライカとは、追憶の未来であり、追憶の芸術であり、ライカは文化である。ラテン語の格言には『芸術は長く、人生は短く』とある。