【作例3:リアル・レゾリューション撮影】HDペンタックスDA 35mmF2.8マクロLimited、絞り優先AE、絞りF5.6・1/200秒、ISO200、AWB、三脚使用。(画像をクリックすると、画素等倍にして見られます)
【作例4:通常撮影】HDペンタックスDA 35mmF2.8マクロLimited、絞り優先AE、絞りF8・1/80秒、ISO200、写真用蛍光灯トップライト照明、AWB、三脚使用、ライブビュー、リモコンレリーズ。(画像をクリックすると、画素等倍にして見られます)
【作例3:リアル・レゾリューション撮影】HDペンタックスDA 35mmF2.8マクロLimited、絞り優先AE、絞りF5.6・1/200秒、ISO200、AWB、三脚使用。
そこであえて走行する車を被写体としてリアル・レゾリューション撮影でねらってみました。このカットで特徴的なのは、動く車が1台そのままで写っていることです。同じようにマルチショットを採用したオリンパスの40Mハイレゾショットでは、車がみごと8回分少しずつずれて重ね合わせて写っていたのですが、ペンタックスのリアル・レゾリューション・システムでは、4回露光しているのに、車は大きく変形することもなく、多重露光されたようには見えないのです。それでも子細に見ていくと、ナンバーや文字などは流れていて判読は不可能なのです。また道路の中央分離帯のステンレスらしき柵の光沢感などはなかなかの描写です。
ただしここでも、木々の葉や小枝の部分はモアレらしきジャギーが発生しています。先ほどの英国大使館の場面では、画素等倍に拡大したあたりで確認できましたが、こちらのシーンではA4より少し大きくしたぐらいでも簡単に確認できます。やはり、動く被写体には使えないわけです。
【作例4:通常撮影】HDペンタックスDA 35mmF2.8マクロLimited、絞り優先AE、絞りF8・1/80秒、ISO200、写真用蛍光灯トップライト照明、AWB、三脚使用、ライブビュー、リモコンレリーズ。
動く被写体に使えないということで、あれこれ考えた結果、わが家のデスクトップスタジオでの撮影を試みました。被写体は、いつも使っている小道具ですが、コルクボードの上に、ビールの洋書を置き、その上にコダック35RFカメラを配し、さらにマイクロフィルム用の解像力チャートを2枚組み合わせてカメラの上に置きました。
いつもの撮影では、洋書の文字を見て解像度、深度などを知るようにしていますが、カメラの刻印で解像感を、金属の質感で階調再現を見ようというわけです。
撮影にあたって、まず照明を写真用蛍光灯ランプとしましたが、露光がマルチショットであるために、ストロボのような瞬間閃光は使えません。また最大限ブレを防止するために三脚は“HUSKY Quick Set”を使いました。この三脚はフィルムカメラの時代には大型で重量があるために8×10カメラ用に使われていたもので、デジタルになり、手ブレ補正機構があることなどから、このハスキーはあまりにも重いのでお払い箱寸前になっていたのですが、デジタルはライブビューの拡大でピント合わせが可能になると、フィルムカメラ時代には気づかなかったブレが目につくようになったのです。そして、そのブレに耐えられる三脚はと、所有のものをあれこれ探してみたら、超重量級のハスキーがどうにか使えることがわかりました。撮影は、蛍光灯4灯のトップライトですが、絞りF8に絞ってもISO200で1/80秒ということなのでまずまずの照度だと思います。
撮影した結果をご覧ください、画面全体でその描写を判断するのは難しいですが、解像力チャートを拡大して解読すると0.13という数値まで解像しているのがわかります。A3ノビ光沢にノートリミングでプリントして見ると、個人的には通常撮影でも十分な画質と思うのです。
【作例5:リアル・レゾリューション撮影】HDペンタックスDA 35mmF2.8マクロLimited、絞り優先AE、F8・1/80秒、写真用蛍光灯トップライト照明、ISO200、AWB、三脚使用、ライブビュー、リモコンレリーズ。(画像をクリックすると、画素等倍にして見られます)
【作例5:リアル・レゾリューション撮影】HDペンタックスDA 35mmF2.8マクロLimited、絞り優先AE、F8・1/80秒、写真用蛍光灯トップライト照明、ISO200、AWB、三脚使用、ライブビュー、リモコンレリーズ。
同じシーンをまったくそのままにして、リアル・レゾリューション・システムで撮影したのが【作例5】です。8カットぐらい同じ条件でシャッターを切りましたが、屋外撮影のときとまったく異なり、すべてのコマがモアレの発生もなくベストで撮影されていました。条件さえ整えればとも思いますが、リアル・レゾリューション撮影は、商品や微細な資料、それもまったく動かないものに有効であることがわかります。
そして解像力チャートのもっとも細かい部分を拡大して驚きました。なんと最小の0.1mmピッチまで解像しているのです。被写体、照明、カメラ、レンズ、ISO感度、絞り値などがまったく同じで、変えたのはリアル・レゾリューション・システムモードで撮影したことだけです。この結果が、解像度を3段階近くアップしているのですから、素晴らしい結果です。
撮影データを、A3ノビ光沢にプリントして見ると、肉眼でもチャートの微細部分の解像度の差は、目を凝らして見るとどうにか認識できます。このあたりが分解して見えるかどうかは個人の視力の差にもよりますので、難しいところです。見える人には見える、見えない人には見えないということになりますが、ルーペなどを使えば十分に認識できます。また、チャート左脇のコダック35RFカメラのレンズ鏡筒部分の質感も明らかに増していることがわかります。この部分を含めてA2相当に拡大プリントすると、さらに明確に違いが分かるようになりました。いずれにしても、半切、全紙レベルへの拡大プリントの至近ではその相違は明確に判断できますが、一般的な鑑賞距離ですと、わかる人には分かる、わからない人には分からないというレベルであることも現実です。