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【写真6】EOS-1Dsに取り付けられた「キヤノンEF70-300mmF4-5.6 DO IS USM」。鏡胴にDiffractive Opticsと明記されています。(画像をクリックすると大きく見られます)

【写真7】クールピクス8400用の「ニコンテレコンバーターT3PF×3」。(画像をクリックすると大きく見られます)

【写真8】写真レンズとしてきわめて小型の“HANIMEX 300mmF5.6”と“HANIMEX 500mmF8”ミラーレンズ(中村文夫氏所蔵)。(画像をクリックすると大きく見られます)

●終わりに
 最後に、ニコンもキヤノンも、どちらも回折格子技術を使ったレンズですが、名称としてキヤノンがDO、ニコンがPFと呼んでいます。キヤノンのDOはDiffractive Optics Lens【写真6】の略です。一方、ニコンのPFという名称はPhase Fresnel lens.の略で、2004年のクールピクス8400用のフロントコンバーター【写真7】でもPFという名称を使っていましたが、2007年のニコンのホームページに超精密光学素子の技術解説ではDOE(Diffractive Optical Element)と呼んでいます。
 このあたりの名称は業界として統一できないのでしょうか。同じレンズ技術でも、焦点調節の方式には、リアフォーカシング方式、内焦方式、インナー方式、インターナル方式などとあるのですが、クイズ的に試験問題を作るときにはいいですが、ユーザーレベルでは技術内容を理解しようとすると混乱を招きます。
 そして、回折格子光学系がメリットばかり見えてくるようになれば、世の中の長玉はすべてそちらへ行ってしまうはずです。
 最後に面白いレンズをお見せしましょう。同じように望遠で小型化を目指したミラーレンズです。ミラーレンズは、反射望遠レンズとかカタジオプトリックレンズとも呼ばれますが、【写真8】のペンタックスLXボディに装着されているのは“HANIMEX 300mmF5.6ミラー”で、その右は“HANIMEX 500mmF8ミラー”です。特に300mmF5.6は、ミラーレンズでも絞りがF5.6〜16までと可変でき、フィルター径67mmφ、長さ95mm、質量340g。500mmはフィルター系77mmφ、長さ95mm、質量455gというわけですから、どちらもかなり小型であり軽量です。かつて1980年代にミラーレンズ全盛の時代があり、その後AF一眼レフ時代の到来とともに下火になりました。その原因としてはAF化の難しさなどがあるのではないかと思われますが、過去にミノルタではAF対応のα用にミラーレンズ「AFレンズ500mmF8 Reflex」、APSのベクティス用に「V 400mmF8 Reflex」を発売していましたから、AF化技術の問題だけから下火になったとは考えにくいわけです。やはりそこには、ミラーレンズならではの描写特性、大口径化への難しさなどがあったのではないかと思うのです。
 いずれにしても望遠レンズの小型・軽量化はユーザーメリット大であり、僕個人としては、キヤノンとニコンからほぼ時を同じにした回折格子レンズが手ブレ補正機構を組み込んで再登場したのは、デジタル時代の写真レンズの新技術ではないだろうかと思うのです。デジタル時代はまだまだやることがあるのだなと、実感した次第です。
(2015.07)







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