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までドウゾ!

今回の撮影旅行で問題にしたいのは、ストラップのことです。
まず、イオス20Dに付いているのは、幅が広すぎて失格。あのストラップを真面目に持ち歩いて、実際に写真を撮影しているのは皇太子殿下くらいなものでしょう。大昔に皇室アルバムかなにかで、どこかで撮影中の皇太子殿下の幅広のキヤノンのストラップがはっきりとテレビでも認識されたので、さぞやキヤノンの関係者さんは喜んだものと思われますが、ああいう柔道の赤帯みたいな、幅広のストラップは「真剣スナップ」にはもっとも不向きなものです。
他の高級デジカメのストラップも価格の割りにはまったく感心できないので、すでに30年来愛用のライカの革製のストラップなどに交換して行きました。
これだけで、撮影のしやすさがまるっきり異なります。

デジカメ各社があれだけ、大画面、迅速な立ち上がり、すばらしい色再現性などで先陣争いをしている「高級デジカメ戦国時代」に、なぜかストラップだけは30年前にマイク・マキあたりがフォークソングで使ったギターのスリングのような代物を同梱していて、それで一向に恥じないのは実に不思議を言う他ありません。
小型化カメラを使いこなすことは、実はカメラを手で操作するということではなく、カメラとネックストラップを一体化した物体を身体と結合させて、そこに一種の運動体を形成して、素晴らしいスナップが撮れるという「奥義」があります。

先日、他界したブレッソンの撮影風景を見ても、ウイリアム・クラインが渋谷の雑踏でノーファインダーでスナップをしている姿を見ても、彼らはカメラと一体化したストラップを身体の延長のように自由自在に操り、使っています。
有名なライカ関係者でライカにストラップを付けない人はライカD3が登場以前の有名写真家、例えばライカA型を愛用したアレクサンダー・ロドチエンコは仕方ないとして、あるいは最近の話にするのなら、ライカ社社長のコーンさんの「ストラップもフィルターもついていないライカM6」くらいなものでしょう。
東京で一夕、コーンさんと過ごして、行きつけのカメラ屋さんに行った時、「ストラップを買ってあげましょうか?」と私が申し出たのは、別に嫌みではなく彼の売る商品の大事なサンプルであるライカM6が落下しては困るであろうという、親切心からでしたが、コーンさんはそれを謝絶しました。
その理由はいまだに明かではありません。
要するに世間のカメラメーカーさんが(一部の例外を除き)大手さんは大体が同梱のストラップでは失格なのです。メーカーさんの中に本当に写真を撮るのが好きな人が居ないという、これは証明でもあります。

私の大事にしている一連のストラップは「ヴィンテージストラップ」とでも言えるモノで、30年前の革製のライツ社の刻印のモノ(これが現在地上に存在するストラップの中では最高!)あとは20年ほど前のニコンのモノでこれはナイロン製ですけど、それなりに使いやすい。
ただし、世間のカメラ小僧の間だでプリミエ価格の「プロスト」は一本も持っていません。あれはプロ写真家ではなく、過酷な肉体労働を強いられる「貼り込みのカメラマン」を想起してしまいます。

この世の中に「気に入ったストラップが存在しない不幸」というのは、「使いもしない多機能をてんこ盛りにしたデジカメ一眼レフの氾濫」よりずっと耐え難いものがあります。
当面、これを解決する具体的な方法はないので 当面は30年前のライカのストラップを大事に使うしかなさそうです。

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