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までドウゾ!

ビオゴンというレンズブランドは最初は1930年代にコンタックス用の(これは当然レンジファインダーカメラ用の)35ミリ広角レンズとして登場しました。その特徴は当時としては想像を絶するほどの後玉の大きさで、これによって広角レンズの光学的な宿命とも言われる周辺光量の低下を補っていました。
しかも当時としては実に驚異的な明るさであるF2,8を確保していたのです。その実力でビオゴンの名声は上がったわけです。
戦後に独逸は東西に分断され、カメラとレンズの開発競争は単なる技術競争にとどまらず、政治を背景にして「東西プロパガンダ合戦」となったのは周知の通りですが、西独逸のシュツツットガルトのコンテッサネッテル工場で生産されたコンタックス2A用のビオゴン35ミリF2,8には改良がほどこされました。
西独逸製のコンタックスは小型なのでボデイ内部が狭く、戦前の東独逸製のビオゴンは後玉が大きいので、ボデイに挿入できないのです。それで新ビオゴン35ミリはレンズの後部が小さくなりました。
加えて西独逸のカールツアイスは50年代初頭に画期的な超広角レンズを発表しました。
これがビオゴン21ミリF4、5で、当時、一般撮影用としては、対角線の画角90度を超える世界最広角のレンズでした。シカゴアートインステイチュートの著名な写真家、ハリー・キャラハンはその深い焦点深度が自分の写真に必要というので、いち早く、ビオゴン21ミリとコンタックス2Aを手にいれて有名な都市風景の連作を発表しています。
ビオゴンは35ミリカメラ用だけではなく、6X6判のハッセルブラッドスーパーワイドにも装着され、大型カメラ用のビオゴンも用意され、これらビオゴン付きカメラは建築写真家や風景写真家だけではなく「前衛写真家が欲しがるカメラの代表的存在」となりました。
昨年から今年にかけて、独逸のツアイス財団と日本のコシナの協業で登場した、一連のビオゴンレンズシリーズはその意味で、21世紀の新しいビオゴン時代を切りひらきました。
半世紀前のビオゴン21ミリF4,5登場の時、ツアイス財団は「このレンズはペニシリンと並ぶ20世紀の偉大な発明である」とのステートメントを発したそうですが、それから半世紀後に登場した、新ビオゴンシリーズのその進化には見るべきものがあります。
2005年の4月にニューヨークで、私は21ミリ、25ミリ、28ミリ、35ミリの4本のビオゴンを駆使してニューヨークのストリートを撮影しました。
その成果は近々、写真集にまとめる予定ですが、一番印象に残ったのは、レンズの優秀さはそのMTF曲線の数値もさることながら、実戦での新ビオゴンの威力は何と言っても「逆光」に滅法強いということです。
シャープネスとか歪曲の少なさは当然ですが、光の方向をものともしないストリート撮影で安心して太陽にレンズを向けられること。
これが私が新ビオゴンを最大に評価するポイントです。
戦前と戦後に君臨するビオゴンレンズブランド。これこそレンズの温故知新と言えましょう。

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